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県観光のキーワードは“多角化” 県観光局・松本局長に聞く


来年度から第二次県観光振興指針

福岡県商工部観光局の松本恭子局長はこのほど、本誌インタビューに応じ、県が推進する観光行政の指針などを述べた。主なやり取りは次の通り。
―東京2020を夏に控え、インバウンドの拡充は福岡県でも期待されている。
松本 キーワードは多角化。海外から福岡県を訪れる外国人入国者のうち、韓国からの入国者数が約50%を占めているが、日韓関係の悪化などによって大幅に落ち込んでいる状況が続いている。これを差し引いて考えても、中国、台湾、香港など東アジアの国・地域からの入国者数は約85%を占めているのが福岡県の実情。東アジアからのインバウンドの受け入れには今後も対応していかなければならないが、いろんなリスクを考慮すれば、欧米豪などからの取り込みをさらに力を入れていく必要がある。県では来年度から、3ヵ年の「第2次福岡県観光振興指針」がスタートするが、この指針にも幅広い国・地域からの観光客誘致に向けた取り組みを展開する方針を打ち出している。多角的な誘客をより戦略的に取り組むことで、持続可能な観光先進県を目指していきたい。
―多角的な誘客を進める上での取り組みは。
松本 デジタルマーケティングの推進だ。ターゲットとしている国・地域において影響力のあるデジタル媒体を活用した情報発信をさらに強化していきたい。昨年秋のラグビーワールドカップの開催に合わせ、欧米豪を対象にデジタルを活用した情報発信に取り組んだ。その結果、欧米豪から福岡県を訪れた入国者数は、9月で前年比10%増、10月では85%増の成果が見られた。特に県内で試合が開かれたイギリスやフランスからの入国者数は約4倍、オーストラリアからは約2倍だった。宿泊者数についてはイギリスが約10倍、フランスは約6・5倍、オーストラリアは約4倍だった。ラグビーワールドカップによる誘客については大きかった。
―観光による交流人口の拡大は各地域の活性化に大きく貢献すると思うが、県としてどのような支援を展開していくのか。
松本 大きく2つある。まず観光で地域の稼ぐ力を引き出す上で、プレイヤーとなる組織、日本版DMO(観光地域づくり法人)候補法人の育成がある。県では、県内各地において日本版DMOを目指す観光協会などの法人に対し、伴奏型による支援事業に取り組んでいる。地域の個別課題抽出のために必要なヒアリングをはじめ、マーケティングやプロモーションの専門家を派遣することで、課題解決に向けた指導や助言などを行っている。2つ目は、魅力ある観光地域づくりをリードする人材の育成だ。18年度から「ふくおか観光地域リーダー共創塾」を実施している。
―最後に宿泊税の導入について。
松本 今後、具体的に動き始めることになるが、ハード・ソフト両面で、いただいた財源を大切に活用し、成果を上げていくことが最大の目標と考えている。

2020年2月18日発行