INTERVIEW

シェアサイクル1年半で利用規模約16倍増、市民の足「チャリチャリ」定着進む


福岡市(高島宗一郎市長)は4月1日、シェアモビリティサービス「チャリチャリ」(※「メルチャリ」から同日付で名称変更)を展開するneuet㈱(=ニュート、東京都港区、家本賢太郎社長)と共同で「シェアサイクル事業」を始動した。

 

メルチャリ(当時メルカリ㈱運営)が2018年2月にスタートし、福岡市では同年6月から天神、博多駅、ウォーターフロント(WF)地区でメルチャリを使った「福岡スマートシェアサイクル実証実験」を実施した。市の道路下水道局自転車課によると、実証実験期間の1年半で利用者数は実験前の約16倍規模まで成長。昨年9月には月間で13万6036ライド数を記録するなど、市民の足として着実に定着しているようだ。

福岡市内各所で利用可能なシェアサイクル 「チャリチャリ」。4月1日から「メルチャリ」から名称変更された

市によると特に博多、天神、WFに加え、中間地である呉服町・中洲エリアも含めた4エリア内の回遊は月約3万8000回と半年で約1・6倍増、エリア内の移動を除いた4点間の回遊も月約1万9000回発生するなど、シェアサイクルによって都心部内の回遊性向上に一定の効果を得たと判断したという。

 

そこで、今後もシェアサイクルの活用を促進することで、都心部の回遊性向上や放置自転車減少など自転車に関する課題解決を目的にシェアサイクル事業をスタートする流れとなった。

 

今回実施対象とするエリアは、天神地区、博多駅地区、ウォーターフロントの3地区を選定。その後アイランドシティや香椎・千早地区、箱崎地区、六本松・鳥飼・別府地区、大橋地区、西新・藤崎・百道地区といった副都心エリアにも拡大する予定だという。チャリチャリの数は今年2月時点で260箇所・約1100台が整備されており、2023年3月までに約600箇所、約4000台まで拡充を目指し、利用規模拡大でより一層の普及を目指す。

 

neuetの家本賢太郎社長

昨年2月、前身のメルチャリをメルカリ㈱から事業承継したneuet㈱の家本賢太郎社長は「チャリチャリ導入ニーズの声は増えている。これまでコンビニエンスストアや小規模商店の軒先での導入が多かったが、最近は民泊施設の導入が目立っている」と分析する。

今後については「スーパーなどでも増える見込み」とポート(駐輪場)も含めさまざまな場所に増やしたい考え。また「自転車はベーシックインフラを支えることに役立つので、今後チャリチャリの利用者を増やすため、徒歩5分圏内で常に利用できるような環境を整備し、チャリチャリで福岡の都市力向上に貢献したい」と、市民の足としてさらなる定着へ意欲を示している。

【金縄洋右】