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中小企業振興、新産業育成などさらに前進 福岡県・小川知事


農林水産業は「稼げる産業」に

福岡県の小川洋知事は本誌新年号のインタビューで、「中小企業振興や新産業育成、農林水産業の活性化など県の産業経済をリードする取り組みをさらに前進させたい」と話した。
—2020年の抱負について。
小川 まず何より被災地の復旧・復興に全力で取り組む。県民の皆さん、各産業、各地域を元気にし、福岡県をさらに前進、発展させていくことに全力で取り組みたい。
—中小企業の振興が引き続き重要になっている。
小川 「誰もが住み慣れたところで働くことができる地域社会づくり」は地方創生の基本だ。そのためには「魅力ある働く場」を作ることが一番大事で、中小企業の振興はその一翼を担っている。特に生産性の向上に力を入れていきたい。AIやIoTなど第4次産業といわれる技術も用いながら、生産性の向上を進めていこうと19年9月には福岡県中小企業生産性向上センターを開所した。この事業の肝は、現場の課題を洗い出し、有効な処方箋を描くこと。センターの中小企業診断士や技術士が現場に入り、企業診断を行い、その結果を踏まえて経験豊富なアドバイザーが業務プロセスの改善を提示する。設備導入が必要な場合、県が新設した補助金や低利融資で支援する。一貫した支援をきめ細かく行うのは全国初の試み。11月末までに58社から申請があり、53社の診断を行った。うち26社は診断結果に基づく改善支援計画を策定中で、13社に関してはすでに計画に基づく支援を行っっていく。
—新産業育成について。
小川 19年12月に福岡県発のベンチャー企業・QPS研究所と県内16社を含む九州の中小企業20社が協力して開発した超小型レーダー「イザナギ」が打ち上げられ、地球を周回する軌道への投入に成功した。この衛星管理システムには県のプログラミング言語「murby」が採用され、システムは開発や資金調達、販路開拓といったビジネスプランの作成を支援してきた。本県が誇るハード、ソフトそれぞれにおける技術の結晶でもある。宇宙関連産業は、人工衛星の製造に限らず、衛星データを活用した新しいサービスの提供など成長が期待できる分野。この成功を機に宇宙ビジネスの可能性を広げるための方策について検討を進めている。IoTでは、現場の状況とニーズをシーズに結び付け、課題解決を図る仕組みを作った。こうした製品・サービスが実際現場に普及していくよう19年度に創設した「福岡県IoT認定制度」によって、企業のビジネス展開も支援していきたい。
—農林水産業の振興について。
小川 貿易の新しい枠組みが出来上がりつつある中、大事な農林水産業をしっかり守っていくと同時に、「攻め」の産業とすることを目指していきたい。また、農林水産業を「稼げる産業」にしていくため、IoTやAI、ICTなど最新技術を導入し、本県自慢の農林水産物の生産の安定と効率化を両立させる「スマート農林水産業」を推進し、成長産業への転換を目指す。

2020年1月7日発行