FEATURE

ふくおか経済EX 2009

西部電気工業㈱


「安全と品質」の徹底で九州のITインフラ整備をサポート

福岡本社ビル(福岡市博多区博多駅東3丁目)

 九州地区を中心に情報通信設備建設事業を手がける西部電気工業㈱(福岡本社・福岡市博多区博多駅東3丁目)は1947年7月、福岡市において無線施設建設・保守を目的とする「西部電気通信工業㈱」として創業した。創業から60余年経た今日では、「安全と品質」の徹底で、情報通信関連、土木・設備関連、環境関連、ネットワークソリューションを主業務とする九州トップの「総合エンジニアリング企業」として、日々進展するIT社会をインフラ整備の面から支える。

コスト競争力の強化で企業体質を充実

国内景気が後退傾向にある中、NGN(次世代ネットワーク)のサービス開始など、情報通信業界でも大きな転換期を迎えている。光ブロードバンドサービスの拡大、光IP電話への移行など、サービスの多様化・高度化は一層展開するものの、需要の一服感および事業者間における品質・価格両面での競争拡大等により、投資水準は引き続き厳しい状況が続くものと予想される。
中央と地場、大手と中小など競争がますます激化する中、西部電気工業では積極的な営業展開とともに、各種業務改善施策の実施による生産性の向上および原価の低減、経営の効率化など、これまで以上にコスト競争力の強化を図り、企業体質の充実を目指している。
昨年は経営企画部内に「事業開発室」を発足、新規ビジネスの創出に積極的に取り組んでいる。笠原正昭社長は「主力の情報通信設備建設事業に加え、柱となるコア事業があといくつか欲しい。事業創出は容易ではないが、人材も育ってきており、新たなビジネスを具体化していきたい」と期待する。このほか、企業の社会的責任の姿勢を明確化するための「CSR推進部」や、営業部門の統括、管理機能を強化するため「営業企画部」を新設した。さらに、光ブロードバンドサービスの進展に伴い、今後の成長が見込まれるユーザ系分野の受注拡大を目指してNTT設備建設本部内に「ユーザ部」を新設した。
このほか、地球的なテーマである環境問題に対応し、「環境事業部」が中心となって太陽光発電事業に取り組んでおり、ビジネスの一つの芽へと育ってきている。

光ファイバーケーブルの接続工事

「技術センタ」で工事品質の向上と技術の継承に対応

「安全と品質」を第一義としている同社にとって、工事品質のさらなる向上や団塊の世代の大量退職に伴う施工技術の継承は大きな課題だ。この課題を解決すべく昨年春、実習設備を備えた本格的な研修施設「技術センタ」が稼働した。2階建て延床面積998㎡、1階が実技研修用スペース、2階が座学研修室(3室で約70人収容)で、屋外には電柱やマンホール設備も備えている。熟練社員を中心とした指導の下、新入社員をはじめ若い技術者が実際に工事を体験することができ、工事技術のスキルアップやOJT教育に活用している。施設の建設を提唱した笠原社長は「エンジニアリング企業にとって『安全と品質』の徹底は原点であり、究極の目標。この施設の活用により、施工技術の継承と新技術の習得を図っていく」と狙いを語る。

実習設備を備えた本格的な研修施設「技術センタ」(福岡市博多区榎田1丁目)

次なる100年に向け、新時代のニーズに対応

組織・施設面だけでなくソフト面の充実にも力を入れてきた。2000年2月に品質マネジメントシステム(ISO9001)を全社で取得。2002年4月には労働安全衛生マネジメントシステム(OHSAS18001)に準拠した社内システムの運用を開始した。
情報セキュリティ面では2004年11月に企業通信事業部においてISMSの国際標準規格(BS7799)と国内標準規格(ISMS認証基準・Ver.2.0)を同時取得し、2005年12月には東京本社、翌年3月には大阪支店でも拡大・取得した。環境マネジメントシステムISO14001についても、2006年2月に全社に拡大・取得。同年11月には情報セキュリティマネジメントシステムをISO27001(国際標準規格)へ移行した。
また、4月1日付で、一層の業務効率化と収益力強化に向けて組織を整備した。開発営業部門の意思決定の迅速化を図るため、営業本部、熊本統括本部の2本部制から、「企業通信事業部(新設)」「環境事業部」「土木事業部」「営業推進統括部(新設)」の4部体制へと移行して収益拡大を目指す。
創業から60余年にわたって培った信頼の技術力と確かな品質をベースに、九州の情報通信設備建設業界をリードしてきた西部電気工業。「安全と品質」の徹底で高度情報化時代のインフラ構築に貢献する。新しい時代のニーズに応え、次なる100年に向け、しっかりとした歩みを続ける。

笠原 正昭 社長
横浜市出身、1945年1月30日生まれの64歳、慶應義塾大学工学部卒。68年日本電信電話公社(現NTT)入社、福岡本部長、取締役技術部長、NTT西日本常務取締役大阪支店長などを経て2002年6月西部電気工業副社長、03年4月社長に就任。趣味は囲碁、ウォーキング、ゴルフ

 

企業DATA
【所在地】〒812-8565福岡市博多区博多駅東3-7-1
【TEL】092-418-3111㈹
【FAX】092-418-3349
【創業】1947年7月
【設立】1947年7月
【資本金】16億円
【事業内容】情報通信設備の設計・建設・保守、電気・管工事、土木工事、太陽光発電・環境関連工事、 ネットワークソリューション等
【年商】508億円(2008年3月期)
【代表者】笠原正昭
【従業員】1,144人(2008年3月期)
【URL】http://www.seibu-denki.co.jp

採用情報
●募集職種:①電気通信技術者/電気・機械設備 技術者②土木技術者③IT技術者
●採用実績:08年度44人、09年度40人
●採用予定:10年度40人
●問合先:TEL092-418-3165
●担当:吉田、千北(ちきた)

(ふくおか経済EX2009年)