FEATURE

ふくおか経済EX 2009

セルコムグループ


「治療・予防」分野に特化した 医療機器のパイオニア

福岡市博多区東光寺にあるセルコムグループ本社

医療・健康福祉に対する存在意義を改めて見直し、患者本位の医療サービスと高品質の診療が求められる今日、「患者との信頼関係を強固なものとし、地域との医療連携をさらに重視する」病医院との間で常に最適な医療コンサルティングを提案し続けてきたセルコムグループ。
同グループの技術開発部門として、主に理学療法機器を主体とするメディカル・ハイテクノロジーの研究開発を担うセルコム㈱(福岡市博多区東光寺町、是永哲也社長)では、今年2月で創業40周年を迎えるなど、長年、治療効果の高い医療機器を世に送り出すことで医療文化の発展に貢献し続けてきた。特に、医療用低周波治療器「トップラーシリーズ」は全国約5000施設で利用されており、同シリーズにおける特許も18製品で取得。そのうち11製品は国内初の低周波治療器として開発し、1997年8月には同社オリジナル深部通電波形「トップラー波」とWater Electrode System(W.E.S)搭載の低周波治療器を世界特許に出願、認可取得するなど 、「低周波治療器のパイオニア」として国内外から高い評価を得ている。
「低周波治療」とは、低周波電流を身体に通電する治療のことで、主に筋収縮によるマッサージ効果や血行促進効果、鎮痛効果があるという。身体の深部に痛みの原因がある場合、深部まで電流刺激を到達させる必要があるが、これまで電力量を上げ過ぎると激しい痛みを伴うことが課題とされてきた。同社は電流量の大きな通電波形「トップラー波」を採用することで深部まで電気刺激を到達させ、心地良い刺激と治療効果を実現。低周波帯の変化で患部の状態に応じた「治療プログラム」を確立しており、自社オリジナルブランド製品として常に医療に対する最新システムを提案している。

九大と共同研究で健康予防機器を開発

今年3月には九州大学健康科学センター(春日市、熊谷秋三教授)と連携し、リラクゼーションダイエットシステムの新製品「ピュアスリム」を共同開発。厚生労働省の特定健診制度施行に伴い、メタボリックシンドロームが原因による糖尿病や高血圧症、脂質異常症など生活習慣病を未然予防するニーズが年々高まっていることから、同社では従来の「治療」分野と並行して、新たに「予防」に特化した商品開発を積極的に展開。創業40周年を機に、治療と予防分野を柱とした理学療法機器の開発に注力している。
「ピュアスリム」は、ウォーターベッド型マッサージ機に遠赤外線温浴機能、「トップラーウェーブ」搭載の筋肉収縮運動機能、水圧リンパマッサージ機能、リラクゼーション・カラーセラピー機能を装備しているのが特徴。遠赤外線で全身の脂肪を溶かし、トップラーで血中・部分脂肪を燃焼させ、リンパマッサージによるデトックス作用で老廃物を排泄、カラーセラピーによるリラクゼーション効果を促進するという。現在、4機能を組み合わせによる同時治療の分野で特許申請しており、今後も先進的な医療用予防機器の研究開発を強化していく。是永社長は「今回初めて九大と共同でリラクゼーションとダイエットシステムを融合した健康予防機器を開発した。今後、ピュアスリムと医療用低周波治療器を柱に事業領域を拡大していきたい」と意気込む。

3月に九電ラグビー部がピュアテコールを導入

また、全国の医療機関を対象に理学療法を中心とした自社ブランド製品を販売し、メンテナンスおよびコンサルティング業務を担うのがセルコムメディコ㈱(同、是永須満子社長)の役割となる。
05年患者調査統計データによると、推計外来患者数約709万人のうち、同社が懸念する「筋骨格系、結合組織の疾患」者数は、消化器系の疾患(約130万人)に次いで98万3000人に上る(3位は循環器系疾患で約94万9000人)。筋骨格系、結合組織の疾患者のうち、約66%が65歳以上と今後さらに増加傾向にあることから、各医療機関でも健康管理を重視した予防健診や「身体のリラクゼーション」、「メンタルケア」に対処し、保健医療と予防医療を併用した医療体制を構築する病医院も増加している。そうした動きが、同社の販売ネットワークをさらに活発化させることになる。
今年3月には九州電力㈱ラグビー部が「ピュアテコール」を導入するなど、同製品の利用価値は職域をさらに広げており、是永社長は「今後も検証結果に基づいて九州各県の社会人チームや実業団、各教育機関に提案し、予防治療だけでなく筋疲労ケアやメンタルケアにも有効な治療機器として浸透させていきたい」と説明する。
「ブームを創り出す。そして、その先駆けになる」。セルコムグループは、決して妥協しない品質と徹底したオリジナル追求の姿勢をこれからも貫き通していく。

今年3月には九州電力㈱ラグビー部にリラクゼーションウォーターベッド「ピュアテコール」を納品。宿舎内トレーニングルーム内に設置した。左から是永社長、大村佳コンディショニングコーチ

 

企業DATA
【所在地】〒812‐0896福岡市博多区東光寺町2‐2‐13
【TEL】092‐471‐8863
【FAX】092‐473‐7991
【創業】1969年2月
【設立】1973年3月
【資本金】4350万円
【事業内容】医療用低周波治療器、健康予防機器の製造・販売
【代表者】セルコム㈱是永哲也セルコムメディコ㈱是永須満子
【従業員】64人(グループ)
【出先】(営業所)福岡、広島、大阪、名古屋、東京、さいたま、仙台
【関連会社】セルコム㈱、セルコムメディコ㈱
【URL】http://www.celcom-me.co.jp

(ふくおか経済EX2009年)