FEATURE

ふくおか経済EX 2011

㈱力の源カンパニー


新たな価値を創造し、世界に展開する総合粉食企業

(写真)「博多 一風堂 博多駅店」

総合粉食企業として、さまざまな可能性を追求し、新たな価値を創造している㈱力の源カンパニー(福岡市中央区薬院1丁目、河原成美社長)。ラーメン店「博多 一風堂」を国内58店、海外3店に展開するほか、レストラン事業では、ラーメンダイニングという新たなジャンルの空間を創りだした「五行」や、友達の家に遊びに行くような気軽さをテーマとした沖縄料理店「行集談四朗商店」、4種のちゃんぽんをそろえる「名物博多 ちゃんぽん太郎」、ベーカリー事業では異なる2つのコンセプトで「ダム・ド・フランス」、「BREAD JUNCTION」を運営している。

JR博多シティにラーメン店と沖縄料理店

今年3月、九州新幹線全線開通に伴い注目を集めるJR博多シティの9、10階に全国最大級の飲食フロア「シティダイニング くうてん」が誕生。その10階に「博多 一風堂 博多駅店」、沖縄料理店2店目となる「沖縄リパブリック 談四朗キッチン」をオープンした。
「博多 一風堂 博多駅店」では、九州の玄関口である博多駅で、博多の代表として同店限定の香油を溶かす「赤丸新味」のほか、「白丸元味」、「一風堂からか麺」を提供。ホームである「博多」で“感謝”の気持ち込めた渾身の一杯を振る舞う。「沖縄リパブリック 談四朗キッチン」では、沖縄料理店1号店である「行集談四朗商店」を進化させ、「3度目の沖縄」をテーマとしたメニューをそろえる。代表的な沖縄料理だけでなく、地元の人しか知らないディープな沖縄の魅力に溢れる隠れた名店メニューが充実している。
また、ラーメン、飲食に関するコンサルティングも手掛けており、10年9月にJR東日本グループの㈱日本レストランエンタプライズ(東京都、浅井克巳社長)とエキナカのラーメン業態開発を目的としたコンサルティング契約を締結。4月5日、「TOKYO 豚骨 BASE MADE by 博多一風堂」がオープンした。同店は、商品・業態開発、店舗デザイン、スタッフ教育などを同社が担当したエキナカ初「一風堂プロデュース」のラーメン業態となった。

韓国に初進出、5年で10店オープン計画

海外展開においては、韓国の代表的な複合企業であるエキョングループとライセンス契約を締結し、5月にはソウルに1号店、今後5年間で韓国内の各地に10店の出店を予定している。韓国外食産業では日本食が人気の一方、ラーメンに関する興味、関心が比較的少ないが、日本はもちろん、アメリカ、シンガポールへの出店で成功を収めている「博多 一風堂」のブランド力とエキョングループの事業競争力によって、韓国の外食マーケットにおける日本ラーメンのシェアナンバーワンを目指す。また、将来的には合弁企業の設立も視野に入れており、店舗に関するノウハウや商品開発の面を指導し、日韓双方の食文化の交流、新事業展開などに携わっていく。

人材の根本は「素直と明るさ」

国内にとどまることなく、グローバルな視点でその歩みを進める同社。その根底にあるのは、「笑顔とありがとうを伝えていく」ことであり、「新たな価値の提供」である。だからこそ、加速していく事業戦略の中で人材の確保と育成は不可欠となるが、あくまで「素直で明るいということが一番。そして感性がマッチすることが重要」と、質より量を求めるような採用をすることはない。人間性についても「求める人物像として資質を列挙すると、学生に誤解を与える可能性がある。一人ひとりに個性があり、それが当社で活かしていけるか、自分自身その姿をイメージできるか」という方針だ。これは、例えば一言にコミュニケーション能力といっても「しゃべるのが上手な人」、「話を聞くのが上手な人」と多種多様であり、受け手に解釈を委ねてしまうことで間違った捉え方をされることを危惧してのものである。

「IPPUDO SG」(シンガポール)

それぞれの適性に合った仕事で社会を活性化

近年の厳しい経済情勢の影響で、超就職氷河期と言われる中、学生はとりあえず多くの企業の採用試験を受験する傾向が強い。全国的に知名度の高い同社への受験者も多いが、このことに関しても「店に行ったことがないという学生の方もいるが、会社説明会や就職サイトからの情報だけでなく、店舗も見てほしい。そこで感じたものが当社の社風であり、自分の目で見てどんな仕事かを理解してほしい」と説明する。目で見て、肌で感じた上で、どういった企業なのかを調べ、自分の働く姿を想像すれば実際に働いた際とのギャップを最小限に抑えることができるということからだ。「それでも想像以上になる部分は仕方ない。どういった部分が辛いと説明しても、体感してみないと分からないものはある。しかし、調べ方が足りなかったり、想像が浅かったために起きる、入社後のギャップは作らないでほしい」と訴えている。
また、「やりがいは辛いことがあるからこそ生まれる。受け身ではなく、目的意識を持ち、自分の理想像を持って受験することが大事。採用試験は企業も学生も対等の立場で、お互いの想いや目標をすり合わせする場であるべき。そうして、それぞれの適性に合った仕事をすれば社会全体が活性化する」と力を込める。同社の“自社のことだけを考えるのではなく、世の中全体のことを考える”という理念に共感し、共有した上で、それぞれの個性を見出して人材が成長していく。「企業は人なり」という言葉通り、高い意識で社会に寄与する人材が集まっていることこそ、同社が飲食業界をけん引するリーディングカンパニーたる所以ではないだろうか。

河原 成美 社長
かわはら・しげみ/福岡県出身、1952年12月18日生まれの58歳、九州産業大学卒。1979年11月、博多区博多駅前3丁目にレストランバー「アフター・ザ・レイン」オープン、85年10月には中央区大名1丁目に最初のラーメン店「博多 一風堂」をオープンし、翌年に力の源カンパニーを設立。現在、国内に58店、海外に3店を展開している

 

企業DATA
所在地 〒810-0022 福岡市中央区薬院1丁目10-1
TEL 092-762-4445
FAX 092-762-5556
設立 1986年10月
資本金 1億3350万円
事業内容 飲食店(ラーメン店「博多一風堂」等)の経営、パンの製造・販売、飲食関連のコンサルティング
年商 93億円(2010年12月期)
代表者 河原成美
従業員 1560人(社員210人)
URL http://www.chikaranomoto.com

採用情報
募集職種 総合職
応募資格 大学卒
問合せ先 TEL.070-5402-1771
担当 人事・総務グループ

(ふくおか経済EX2011年)