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五洋食品産業㈱
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小売・業務用市場開拓を加速、安定稼働の年に
(写真)スタッフ一丸でビジネスモデルを構築(中央が舛田社長)
冷凍ケーキ市場の開拓を進める五洋食品産業㈱が、糸島市に本社工場を移転して4月1日で丸1年が経過した。
これまでのノウハウを生かし、スタッフ一丸で設計した同工場は、食品製造衛生管理システム「HACCP(ハセップ)」に対応し、バラエティーに富んだ一貫した商品づくりができる最適な製造ラインを設置している。工場内は急速凍結機、超音波カッター、リールオーブンなど最新機器を導入したほか、ゾーニング(区分)や動線を整備して作業区域を床の色で分類。また、各部屋の陽圧制御で空気の流れをコントロールすることで異物侵入を抑制し強力に空気殺菌するなどレベルの高い衛生基準を保っている。
レベルの高い衛生基準が保たれた本社工場(左)と、作り立てのケーキを一気に冷やす-30℃の急速凍結機ライン |
苦戦強いられたが下期は前期を上回る生産力に
同社は移転に伴い、地元からの多数の新人採用を行ったが、制御・管理方法などの変更も重なり機能を十分発揮できず、著しく生産量低下を招くなどの苦戦も強いられた。だが、生産効率改善への取り組みを継続し昨年11月にようやく前工場の生産能力を上回り軌道に乗り出している。舛田社長は「上期は思いのほか生産性を上げることに苦戦した。一から人員配置を見直し、QC活動(品質管理)を通じ動作改善などで1分あたりの生産性を高めてきた」と地道な努力を重ねてきた。少しずつではあったが徐々に回復し、下半期は前期増で推移しており12月の月間売上高は過去最高の1億5000万円を越えた。「まだ計画能力の半分以下の稼働状態ではあるが2011年度中に、従来の2倍以上の生産力を目指したい。そのため今年いっぱいを安定稼働の年にする」と今後の増産を見据え組織整備を急いでいる。その一つとして、この4月に商品部を新設し、管理部、営業部、生産部、品質管理部、企画開発部の6事業体制に再編。商品部は基幹電算システムを整え在庫管理を徹底しながら、各部門の連携をとり生産性向上と効率的な業務を進めていく。
また、地元糸島の雇用にも意欲的。今年度も前期に次ぎ、福岡県立糸島農業高校の新卒者を受け入れ雇用創出に努めている。さらに、地元の原料を農商工と連携して仕入れるなど糸島市のまちおこしに貢献することも目指している。
本社工場内の食堂でQCサークル |
小売市場開拓を加速
冷凍スイーツの独自製法を考案し、外食産業や生協への提供を主体に事業規模を拡大してきた同社。厳選素材を使い、添加物は極力使わず機械と職人の細やかな手作業を生かす生産法を強みとし、08年に世界的な食品品評会「モンド・セレクション」で自社ブランドのベイクドチーズケーキが金賞を受賞した。以来、一般消費者向けにした小売市場の開拓に注力している。09年に本格参入したネット通販の会員数は現在3000人に達し、取扱店舗は首都圏スーパーまで広げ、さらに韓国、中国のアジア圏に進出するなど小売市場へシフトすることで大きく飛躍している。また、冷凍スイーツをあえて「スイーツストック(商標権取得)」と提唱することで、冷凍商品のマイナスイメージを払拭し、「食べたい時にいつでも食べられる、冷凍庫にストックできるケーキ」としてブランド力向上と浸透に努めてきた。同時にPB商品のアイテムも増やし、広く流通することで全体の注目度を高める。
舛田社長を中心に若いスタッフの柔軟な感性と果敢な実行力で築いてきたこのビジネスモデルは、周囲でも評価を受けており同社はこのほど、優れたビジネスプランと経営手腕で事業実績をあげた企業を評価するフクオカベンチャーマーケット(FVM)協会の「FVM大賞2011」で大賞を受賞し対外的な評価を得た。「この受賞は今後の販路拡大において足掛かりとなった。広い分野で役立てていきたい」と舛田社長。鮮度とおいしさを保ち、理想のテイストに再現されたスイーツストックを洋菓子の新しい食べ方として全国に広めていく。
人気の自社ブランド「ベイクドチーズケーキ」 |
企業DATA
所在地 〒819-1134 糸島市多久819-2
TEL 092-332-9610
FAX 092-332-9613
拠点 福岡営業所 〒812-0044 福岡市博多区千代5-11-20-312
TEL 092-643-8511
FAX 092-643-8513
設立 1975年5月
資本金 1億4315万8000円(資本準備金1億315万8000円)
事業内容 冷凍洋菓子の製造業
年商 9億円
代表者 舛田圭良
従業員 34人(パート90人)
URL http://www.goyofoods.co.jp/
通販 http://www.sweets-stock.com/
(ふくおか経済EX2011年)