㈱愛和地所

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攻勢に転じ新展開で市場を拓く資産運用のパートナー

人気商品と新企画で展開を加速

リーマンショック以降、しばらく新規物件の供給を控えていたアパートの1棟売りの㈱愛和地所。昨年後半からは一気に攻勢に転じ、福岡市の副都心・姪浜地区や吉塚、箱崎地区などに次々と新たな物件が誕生している。
その中心は人気シリーズ「クレオ」と、2人住まいも可能なメゾネットタイプとして昨春開発した「ヴァシオ」。1Kタイプの「クレオ」は開放感と固定階段によるメゾネット型の仕上がりの良さは折り紙つき。さらに１階部分に改良を加え、居室下に設けていたサービススペースを居室の上に移したことで一段と開放感を増した。賃貸仲介業者からは次の計画の催促を受けるほどで、3年前のリリース以来、入居率百%をキープしている。
一方の「ヴァシオ」は1フロア3層の2階建てで6層構造を持つ1DK2Sの間取り。縦の空間を最大限生かし、できる限り投資効率を下げずに土地の有効利用を図っている。約30㎡の専有面積に対して、実際に使える生活空間は約45㎡。
そのグレードの高さに、見学者は一様に絶賛するという。阿部社長は「クレオに比べて建設コストが高めで家賃設定も高くなるが、それを差し引いても入居が異常に早く決まる」と説明を加える。
攻勢に転じたことで今期の完成内覧会は6回に増え、延べ113組で188人が来場した。2月5日と6日に箱崎地区で開いた両企画複合型の内覧会には50人近くが来場し、注目の高さがうかがえる。

人気シリーズの「クレオ」の間取り

「シェア」をコンセプトとした画期的商品

こうした福岡市内での展開に加え、今年に入ってからは更なる新規エリアにも乗り出した。その展開を可能としたのが、「ヴァシオ」とともに昨春開発した”ゆとり”を意味する「アンピオ」。こちらは完全に2人住まいを対象とした1LDK1Sの間取り。2部屋としても利用可能な1LDKの居室にサービススペースをプラスした。専有面積を広めに確保した開放感のあるLDKが特徴で、ストリップ階段を採用することで、さらに開放感を演出。建坪を最大限に活用した「ヴァシオ」に対して比較的に余裕のある用地に適している。
「その名の通りゆとりのある贅沢な造りで、街中よりも比較的に土地代が安くて広めのスペースが確保できる地域で展開したい。駐車場も完備し、商業施設が充実したエリアを考えている」と阿部社長。すでに古賀市や福岡市東区二又瀬新町に開発を進めており、今後も新展開が見られそうだ。このエリアでの展開は同社初で業界でも珍しいが、その展開を可能とした画期的な商品といえよう。

郊外展開を可能にした「アンピオ」の外観（左）。専有面積を広めに確保した「アンピオ」の間取り（右）

初の出版本がネット通販で1位に

ところで、同社は新規物件の供給を控えた時期に中古物件の取り扱いを始めた。ただ、実際に扱ってみると表面利回りは高いのに実質の利回りはかなり低く、リスクの高さに驚いたという。すぐにオーナーのイメージと実態のギャップに気づき「このままでは失敗するだろう。失敗すれば、業界が受けるダメージは大きい」と危惧する。
また、一昨年春からは東京と福岡で資産運用のための不動産投資セミナーを始めた。少人数によるディスカッション形式のプライベートセミナーで、参加者は実際に経験を持つ投資家が多い。「知識も豊富で勉強している方ばかりだが、肝心な部分が欠けている人が多い。物件は慎重に選んでいるものの、買う順番を間違っているために行き詰っている」と指摘する。
こうした思いから1月27日には初の不動産投資のノウハウ本を出版した。著書名は「衝撃！誰も教えない不動産投資のウラ側」（梓書院）。福岡の有名書店を中心に全国の書店で販売しており「成功してもらいたい思いで、失敗した事例や裏話なども可能な限り取り上げた」と話す。
反響は予想以上に大きく、ネット通販の「Amazon.co.jp」にも出品したところ、不動産投資部門で最高1位にランクインした。4月8日には出版記念パーティーを開き、増刷も考えているという。

今年1月に発行した出版本

新展開で注目浴びる業界の風雲児

地元福岡の地域事情に精通し、市場動向や立地条件を含めた総合的な提案を実践してきた同社。「もともとエリアを絞り込んできたが、今後も福岡市内では自信を持って進められる物件しか供給するつもりはない」と語る言葉には強い責任感を感じる。実際に今期契約した顧客の7〜8割はリピーターで占められおり、オーナーとの信頼の強さを裏付けている。独自のノウハウと卓越した企画商品で、強固な信頼関係を築き上げてきたといえよう。
その一方では「新たなエリアで展開を広げたい」と今後の方向性を示す。来期からはセミナー事業も初心者を中心に据える方針で、エリア的にも顧客開拓でも新しい市場を拓こうとしている。リーマンショックでひと回り大きく成長した風雲児の新しい展開に注目が集まる。

阿部 浩二 社長 あべ・こうじ／1954年11月5日生まれの56歳。福岡市出身。87年11月に同社を設立し、社長就任。91年10月に大学進学を目指す外国人のための日本語学校の愛和学園・愛和外語学院を設立し、理事長に就任した。趣味はクルージングおよびスポーツ

企業DATA
所在地　〒812-0053 福岡市東区箱崎3-34-6
ＴＥＬ　092-632-3280
ＦＡＸ　092-633-3341
創業　1987年10月
設立　1987年10月
資本金　1,000万円
事業内容　アパート・マンション企画・設計・施工・販売・賃貸管理
代表者　阿部浩二
出先　(売買企画本部) 福岡市東区馬出1-15-37　TEL 092-632-3800
ＵＲＬ　http://www.aiwachisho.co.jp

（ふくおか経済EX2011年）