FEATURE
イフジ産業㈱
Tag:
東証2部上場果した独立系最大手の液卵メーカー
創立40周年の節目に東証2部に上場したイフジ産業㈱。養鶏業から液卵事業を立ち上げ、独立系トップメーカーの地位を確立した。今春から太陽光発電も始め、環境保全に対する姿勢を打ち出した。地域社会で役割を果す一方で、さらに先を見据えて挑戦を続ける。
創立40周年に東証2部上場
昨年5月30日に東証2部に上場したイフジ産業㈱。すでに01年のジャスダック上場で株式を公開していたが、東証上場は創立以来の目標でもあった。創立40周年の記念すべき節目に念願を果した。
上場後初めて迎える今期の業績は東日本大震災でダメージを受けた関東工場も早期復旧し、順調な推移を見せる。第3四半期売上高は前期比4.6%減の79億4900万円、経常利益は4.9%増の6億6800万円。特に利益面では過去最高益を更新する勢いで、通期では売上高が2.5%増の110億7800万円、経常利益が12.7%増の9億2100万円を見込んでいる。
好調な業績を反映するように市場も評価。東証2部上場の492円の初値を付けた株価はその後も上り続け、今年2月5日には年初来の高値となる824円を記録した。3月上旬現在は750円前後を推移している。
上場記念のレリーフを受け取る藤井社長
養鶏業から独立系最大手の液卵メーカーに成長
独立系トップメーカーに成長した同社だが、その過程は決して順風満帆ではなかった。創業者の藤井社長は1963年、父親の急死で家業の養鶏業を継承。大学4年時から養鶏経営を始めたものの、その後次第に限界を感じ始める。「養鶏家としては完全に失格だった。家族を養うために辞めるわけにはいかなかったが、何かで補う必要があった」。そのため養鶏経営の合間に鶏ふん販売や廃鶏(加齢で産卵率が低下し淘汰する鶏)の加工などを始めた。
液卵事業もその一つで、倉庫の片隅で一人こつこつと液卵の試作を続けた。2年後にはようやく商品に自信が付き、大口販売先の開拓に動く。訪ねた先は粕屋郡古賀町(現古賀市)の山崎製パン福岡工場。半年間通いつめて、思いも寄らないきっかけから取引が始まった。
取引開始を機に72年10月に同社を設立。2年後には早くも巨大消費地・関東に営業進出し、10年後には生産拠点も確立した。その後は積極的なM&Aで中部、関西へと展開を広げていった。01年関東に新工場完成。04年にはHACCPの考え方に基いた最新鋭の関西工場が稼働し、独立系最大手の液卵メーカーの地位を確立した。さらに09年に調味料メーカーの日本化工食品㈱を傘下に加え、グループ経営も始まった。
関西工場の屋根に設置されたソーラーパネル
環境対策で太陽光発電を開始
同社は今春から関西工場を皮切りに関東工場、日本化工食品千葉工場で太陽光発電を始めた。発電能力は関西の300kwをはじめ合計450kw。売上目標は年間1800万円。08年に始めた卵殻のリサイクル加工では学校のグラウンドなどに使う消石灰の代用品に活用し、安全性や環境面から好評を得ている。太陽光発電もこうした環境対策の一環で、環境保全に対する姿勢を示した。「地域のエネルギー供給源の多様化に貢献できれば…」と話す。また、一昨年夏には地元の福証に上場。「今まで育てていただいた福岡・九州の活性化に微力ながら貢献したい」と地域社会で果すべき役割を強調した。
東証2部上場を果した同社だが、その先には1部上場の目標がある。4工場で最も古くなった福岡工場の問題もある。粕屋郡宇美町に用地を確保しており、新福岡工場の建設が待たれる。トップメーカーとして地域貢献の役割を果たす一方で、ベンチャー精神で挑戦を続ける。
藤井 徳夫(ふじい・とくお)社長 1941年2月13日生まれの72歳。中国・天津生まれの福岡市育ち。九州大学法学部卒。63年父親の急死で養鶏業を引き継ぎ、72年10月イフジ産業㈱を設立。趣味は読書 |
〈企業DATA〉
所在地 〒811-2312 福岡県粕屋郡粕屋町戸原200-1
TEL 092-938-4561
FAX 092-938-5537
URL http://www.ifuji.co.jp/
創業 1964年4月
設立 1972年10月
資本金 4億5,585万円
事業内容 液卵・冷凍卵の製造および販売、鶏卵加工製品全般・その他惣菜食品の販売
年商 108億793万円(12年3月期連結)
代表者 藤井徳夫
従業員 92人(12年3月末現在)
出先 (工場)福岡工場(本社)、関東工場(水戸)、関西工場(京都)、名古屋工場(安城)
関連会社 日本化工食品㈱、㈱春日ビル
〈採用情報〉
募集職種 営業・研究開発・管理
応募資格 大学卒、大学院卒
採用予定 各職種とも若干名
問合せ先 092-938-4561
担当 採用担当 三宅
(ふくおか経済EX2013年)