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八洋食品㈱
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餃子専門メーカーとして
市販用と業務用の両輪で成長期す
今年4月に創立50周年を迎えた八洋食品㈱は、一般市販用チルド餃子で西日本トップの生産量を誇る。近年は商品開発力と多品種少量生産対応を強みに、外食産業向けなど業務用冷凍餃子も柱に成長した。川添社長が「当社の将来を担う」と期待する3人のキーマンに聞いた。
チルド餃子ならではの “おいしさ”や“鮮度感”を追求
量販店において、チルド餃子は冷凍餃子と比べ保存性で劣る分、その売り場面積が少しずつ縮小傾向にある中、八洋食品㈱はそのトップメーカーとして、チルドならではの“おいしさ”や“鮮度感”を追求した高付加価値商品の開発に力を入れている。
創立50周年を記念し、今年2月に市販用の新商品として創業当時のヒット商品を復刻した『とんぎょうざ』は、まさにチルド餃子復権という思いが詰まった商品に仕上がった。この『とんぎょうざ』復刻を2年前から温めていたと言う田中慎哉営業部課長代理は、「チルド餃子は日持ちしない分、当社は肉も野菜も安心安全な国産原料にこだわっている。特に、とんぎょうざは肉比率をアップし、できるだけ昔の伝統的な味を追求した。チルドならではのおいしさを消費者や量販店の方々にアピールできれば」と力を込める。
『とんぎょうざ』は、デフレ経済や価格競争の激化が続く中、15g×14粒で末端価格198円を想定した戦略的商品として投入した結果、2月のチルド餃子の売り上げランキングで第4位を獲得する好スタートを切った。同社では今年、50周年キャンペーンとして、主力商品の「博多発ラーメン屋さんの餃子」と「ひとくちしそ入り餃子」の増量企画セールを6月からの4カ月間展開するなど、精力的にチルド餃子をアピールしていく方針だ。
創立50周年を記念し復刻した「とんぎょうざ」
国内産原料や鮮度、味はもちろんパッケージにもこだわり
同社のNB商品は、地域限定商品や特定の量販店向け商品を含め、20種類と同業他社と比べると、飛び抜けて多いことで知られている。半期ごとに必ず新商品を発売する同社にあって、その開発を担うのが、商品開発室の高山友広主任だ。
「定番商品はもちろん、売り場を活性化させるためにトレンドを追った商品も必要。当社の場合は、原料や鮮度、味といった面はもちろん店頭でいかに視覚的なインパクトを与えるかといったパッケージづくりや、封を開けて食べるとき、楽しめるような餃子の形、大きさなどにもこだわっている」と明かす。
これまで数々の“創作餃子”を世に送り出しているが、新商品開発のために、日々の営業との情報交換はもちろん、他業界を含めた食品展示会などにも足を運び、商品開発のヒントにつなげているという。
業務用は小ロットでPB餃子生産
こうした商品を開発できるのは最先端のラインシステムを導入する本社工場をはじめ国内の4つの工場による生産体制に負うところが大きい。そうした生産体制を強みに、この10年ほどでチルド餃子に並ぶ柱に成長したのが、外食産業向けを中心とした業務用冷凍餃子だ。
この業務用餃子の営業で全国を飛び回る広域事業部の浦野智光チームリーダーは、「当社の業務用の強みは、小ロットでオリジナルのPB餃子を作れる点」と言い切る。「しかも国内生産ならではの生冷凍餃子のため、加熱冷凍品と比べて、肉のジューシーさや野菜のシャキシャキ感が違い、企業様のこだわりを再現しやすい」と胸を張る。従来はラーメン店などが中心だったが、最近では外食チェーンや産業給食、また量販店デリカ部門等々に展開しており、今後も成長性の高い業態への提案を加速する方針だ。
創立50周年を迎えた同社は今、柔軟な生産体制とこだわりの商品開発力を強みに市販用チルド餃子と業務用冷凍餃子という両輪で新たな成長曲線を描こうとしている。
〈企業DATA〉
所在地 〒811-0117 粕屋郡新宮町大字上府字北尾1561
TEL 092-963-1231
FAX 092-962-0502
URL http:// www.hachiyo.com
創業 1963年4月
設立 1963年4月
資本金 8,400万円
事業内容 冷蔵・冷凍調理食品(餃子・焼売・ワンタン等)の製造
年商 81億円(2012年1月期)
代表者 川添修三社長
従業員 280人
出先 (工場)本社 滋賀県近江八幡市 群馬県渋川市 (出張所)広島 高知
関連会社 ㈱関西八洋 ㈱八洋フーズ 八洋企画㈱ 明和物産㈱ ㈱八洋グループ本社 八洋㈱
(ふくおか経済EX2013年)