㈱太平環境科学センター

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完全自動化を実現した世界初の分析装置に業界内外が注目

（写真）多方面から注目を集める「自動一般細菌・大腸菌分析装置」。検水と寒天培地を混合し、仕込みからインキュベーター（恒温培養器）までの搬入を完全自動化。人が行うより圧倒的に早く正確で、一度に100サンプルまでの分析が可能だ

水質、大気、土壌など、さまざまな分野の環境調査・分析を手掛ける㈱太平環境科学センター。汚染防止に関する法規制が年々厳格化する中、最近ではこれまでの技術力を生かした高精度、かつスピーディーに分析できる自動分析装置を開発し注目を集めている。

分析装置の外部販売で新ビジネスにも期待

2012年秋に世界に先駆けて開発した「自動一般細菌・大腸菌分析装置」が今、注目を集めている。高い精度と迅速さが求められる分析業務において、同社は試行錯誤と大規模な設備投資の末、検体の仕込みからインキュベーター（恒温培養器）搬入までの完全自動化を実現。一度に大量のサンプルを正確、かつスピーディーに分析する体制を独自に構築したことで、近年、飛躍的に受注件数を伸ばしてきた。
今年3月には念願の特許（第5495453号）も取得。コンパクトでありながら正確、かつ高効率なこの分析装置に、同業他社やさまざまな研究機関も着目し、今秋には県外の公設試への納入も決定した。「サンプルの種類や内容に応じたカスタマイズが可能。分析屋が作った高い信ぴょう性も評価され、多方面から装置に関する問い合わせが増えている」と胸を張る坂本雅俊社長。同社ではさらに1件の特許を出願中（特願2012-212120）のほか、水の汚染を示す指標BOD（生物化学的酸素要求量）の測定を完全自動で行う新装置も近く完成予定で、分析屋という立場でありながら、同社長の表情にはこれまでの技術に裏打ちされたモノづくりへの強いこだわり、そして自動分析装置の拡販という新ビジネスへの確かな自信がうかがえる。

2013年5月には創業40周年の記念式典を開催。社員やその家族など約70人が集まり親睦を深めた

省力化がもたらした社員の意識改革と職場環境の改善

分析業務の自動化は「品質保証」と「コストダウン」という二律背反の課題を解決したと同時に、社員の意識改革にも大きな変化をもたらした。「分析工程における自動化のメリットを肌で感じることで、ここを改善すればもっと作業効率が上がるのではないか、といった自発的な意見が数多く寄せられるようになった。会社が一体となって自動化への手応えを感じながら同じ方向に進んでいる」と坂本社長は目を細める。また労働時間を大幅に短縮できたことも大きい。かつては顧客の検査結果の即時性や納期短縮の要求に応えるため残業なども多かったが、自動分析装置導入により省力化を図ったことで、今では週二日のノー残業デーが定着。社内外でのレクリエーション活動も定期的に実施するなど、社員が意欲的に働く職場環境づくりにも大きく貢献している。

ノー残業デーなどの定着に伴い、社内レクリエーションの開催頻度も増えた。写真は社員とその家族らが参加した天拝山（筑紫野市）へのハイキング

GLPに準拠した施設へ、産学連携事業にも注力

今後は試験・検査の信頼性を示すGLP（優良試験所基準）の資格取得を目指す同社。これは自治体の水道局など主に大規模な水道事業体が取得している資格認証で、認可されれば民間では九州初となる。「すでに指導を受けている東京のコンサルタント会社からも、GLP適合施設へ向け概ね良い評価をいただいている。法に準じた適切な検査工程はもちろん、徹底した管理、衛生面含め、分析会社としての社会的信用をさらに高めるきっかけにしたい」と坂本社長は期待を膨らませる。
また2013年から進めている長崎大学との共同研究に加え、今春からは佐世保工業高等専門学校とプラズマによる殺菌・滅菌技術の実用化に向けた開発にも着手するなど、産学連携事業にも積極的に取り組んでいく。
「目指すは完全自動ラボ」。良い道具を使って人間らしく働く環境を作ることが、真の生産性向上につながることを、同社は自らの事業を通じて実証している。

坂本 雅俊 社長 久留米市出身、1957年8月30日生まれの56歳。久留米工業高等専門学校卒、趣味は山登り、読書

企業DATA
所在地　〒812-0863 福岡市博多区金の隈2-2-31
ＴＥＬ　092-504-1220
ＦＡＸ　092-504-1523
ＵＲＬ　http://www.taihei-esc.com/
設立　1973年7月
資本金　4,000万円
事業内容　大気、水質、底質などの一般分析、ダイオキシン類、環境ホルモン極微量物質の測定、環境調査ほか
年商　5億1,525万円（2013年6月期）
従業員　65人
出先　（事業所）長崎試験所（営業所）佐賀、大分、山口

（ふくおか経済EX2014年）