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新社長に永田氏「九州のブランド、パワー、ハート高める」 トヨタ自動車九州


前トヨタ副社長、米国の経験生かす

トヨタグループの車体生産会社、トヨタ自動車九州㈱(宮若市上有木)の新社長に永田理・前トヨタ自動車㈱副社長が就任し、6月27日に就任会見を開いた。金子達也前社長は代表取締役会長に就任した。以下、会見内容を抜粋。
金子 自動車業界はEV化やコネクティッドカーへのシフト、自動運転などの技術革新、異業種の新規参入など大きな変革の時代に突入しており、より一層の競争力が求められている。そうした中で今回、海外経験が豊富で製造分野にも深い見識を持つ永田を経営陣に迎えることができた。今後も九州ならではの強みを生かしつつ、レクサスインターナショナルの一員として期待される役割をしっかりと果たし、この変革の時代を乗り越えいていく。
また、この3年間でますます愛着が沸いた九州・福岡のために、会長としての財界活動に従事していくつもり。
永田 1980年にトヨタに入社して以降、主に調達業務を担当してきた。三好工場や田原工場の工場長を務めた後に、北米で開発・製造を統括している会社で副社長に就いた。その際にトヨタ自動車九州に足を運び、レクサスの生産ラインを見て勉強させてもらった経験があり、その頃の私にとってこの会社は匠の技術を持った憧れの工場だった。今回その社長に就くことになり大変嬉しい。
私の抱負だが、九州のブランド、パワー、ハートを高めていきたい。最高品質を誇る九州製レクサスの素晴らしさを引き続き発信しつつ、レクサスカンパニーの一員としてこれまで以上に力をつけ、意見を言え、提案ができる会社を目指す。そして、ステークホルダーの方々から、当社を良い会社だと思っていただけるよう、現地調達の推進や地域振興にも力を注いでいきたい。
―改めてトヨタ自動車九州の印象は。
永田 現場も含めて従業員の方々が真面目で、レクサスブランドに対するこだわりが非常に強いモノづくり集団という印象。また、モデルチェンジやハイブリッドへの対応など、新しいことへの挑戦を成し遂げてきた会社という印象も強い。
―15年間の米国勤務など、経験をどのように生かしていくか。
永田 米国式というか、風通しの良い職場を目指していきたい。立場に関わりなく広く意見に耳を傾けるようにしていく。また、事務方の仕事が多かったが、複数の工場や管理・開発部門の担当も経験しているので、新しい立場でも生かせる部分は多いかと思う。
―前期の売上高は1兆円以上、生産台数は約37万台だが、これをどの程度引き上げていきたいかなど、数値目標はあるか。
永田 今期は、SUVを中心にお客さまにお待ち頂いている車種もあり、販売は非常に好調。生産台数は40万台を超える見通しだ。これは過去最高に迫る水準で、売上高もさらなる増収が期待できると思う。また、エンジンやハイブリッド部品も好調に推移しているので、短期的には安定的な成長が見込めるのではないか。中期的には、レクサスのメインメーカーという立場を目指し、中期計画を推進していく。
―新しい領域に挑戦していく展望は。
永田 電動化やコネクティッド、EV、FCV、シェアドサービスなど、これからグループが新たな技術を商品化する動きが目立ってくると思う。そうした求めに対し、生産拠点として即応できるよう日々勉強していかなければならないし、すでに着手している部分もある。
―最近は中国はじめアジアへの輸出が好調だ。
永田 当社輸出の台数比率は中国がトップ。米国は新たな関税などのリスク要因もある中なので、中国のお客さまに受け入れられる製品開発、台数の供給は大変重要。非常に大きなマーケットと見ているので、電動化の政策などにも注目していきたい。
永田社長は名古屋市出身。1957年3月2日生まれの61歳。東京大学経済学部卒。80年トヨタ自動車工業㈱(現トヨタ自動車㈱)入社。三好工場、田原工場などで工場長を務め、トヨタモーターノースアメリカ㈱で上級副社長を務めたのをはじめ、米国勤務は15年間に上る。15年トヨタ自動車専務役員・北米本部副本部長を経て、17年から同社副社長・CFOを務めていた。趣味はスポーツの観戦で、広島東洋カープのファン。

2018年7月3日発行