マリンハイドロテック㈱

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メンテナンス事業に積極投資 銚子、台湾に新工場

（写真中央）同社が製造する船舶用ウインチ（左）海外巻網漁船に搭載されている「3ドラム パースウインチ」（右）

船舶用油圧装置の設計・製造のマリンハイドロテックは、千葉県銚子市と台湾にメンテナンス工場を建設。新造船受注で業績を急成長させる一方で、修理や点検を主とした事業を育て、経営体制を強化している。

メンテナンスを事業の柱に

全国有数の漁獲量を誇る銚子漁港に4月完成するメンテナンス工場は、同社サービスセンター近隣地（2630㎡）に建設。天井高12mの平屋工場と3階建て事務所を併設する同工場は、東日本支店（静岡県焼津市）の2.5倍の規模で、東北地方と東海地方を結ぶ東日本の拠点となっていく。
「これまで大きな修理案件は下関工場に運び、余分なコストやタイムロスが発生していたが、新工場が完成すれば、より高いサービス体制を構築することができる」と今回の工場建設の背景を説明する井手社長。「これで国内の主要漁港の整備はほぼ完了し、メンテナンス事業の体制が整う」と意気込む。
同社の事業は国内、海外、メンテナンス、製品の単品販売の4つで構成されているが、製品の販売は市況や景気に左右されやすい。そこで同社では、収益性の高いメンテナンス事業を強化、現在の1割程度から「2〜3割まで引き上げていきたい」（井手社長）と話す。

製造の拠点・下関製造工場。約8600㎡の敷地内では日々、製品の製造・修理が行われる

海外でも一貫フォロー体制構築

同社は1962年の創業以来、一貫して海運・船舶用関連事業に携わり、現在では船舶用油圧機器の設計・製造のほか、アンカーやロープの巻上げに関する係船機や、魚網を巻上げる漁船用ウインチ市場で国内は8割以上、海外（台湾、韓国、中国）でのまき網船占有率市場は、現在では10割を継続中だ。近年は国内外の新造船増加に伴い同社製品の引き合いも増え、昨年度の売上高は50億円を突破、今年度は6割増となる81億円を見込んでいる。
社長就任以来、増収を続ける井手社長は「国内需要の情報を取り込みつつ、海外市場、特にアジアの新興国では魚の消費量が増加傾向にあり、今後も必ず成長する。早いうちに需要を取り込めたことが業績の底上げにつながった」と海外市場の重要性を説く。
今回メンテナンス工場を建設する台湾も、巻き網船を毎年6〜8隻分受注する重要な市場。国内同様に製品を販売し、取り付けした顧客船舶の修理・保全を手がけていけば、大きな収益の柱となる。また、同社では昨年3月に中国・青島の工業団地内に船舶用油圧機器の製造工場を建設し、アジア市場向けの製品供給拠点として稼働させた。国内で根付かせた、システムの組み立て段階からアフターメンテナンスまで一貫して提供する同社の強みを海外でも展開することで、シェア獲得を目指す考えだ。

下関製造工場での製造風景

長崎で生涯野球軟式大会を開催

事業を拡大させる中、同社では地域貢献の一環として、長崎県下の生涯軟式野球チームが参加する「マリンハイドロテック杯」を開催。昨年7月に開催した第一回大会には、長崎海星高校出身で甲子園球児だった井手社長も、同校ＯBが中心となり結成した「長崎グラバーズ」の一員として参戦した。
「昨年は4チームの参加だったが、今年は還暦チームと古希チームも参戦し、2日間にわたる大会となる。福岡のチームとも交流戦をやってみたい」と笑顔をつくる井手社長。第二回となる今年は10月末に長崎県営野球場で開催予定。「これまで野球に携わり、多くの人に支えられて来た。その恩返しをしていきたい」と力強く語った。

井手 敏文 社長 いで・としふみ／長崎県西彼杵郡長与町出身、1955年8月9日生まれの58歳、同志社大学商学部卒。長崎海星高校時代は3年連続甲子園出場中レギュラーにて2年連続出場。1979年、内田油圧舶用機械㈱（現マリンハイドロテック㈱）入社、2007年に代表取締役社長就任。座右の銘は率先垂範

企業DATA
所在地　〒810-0075 福岡市中央区港3-50-1
ＴＥＬ　092-711-1110
ＦＡＸ　092-711-5197
ＵＲＬ　http://www.mhtc.co.jp
創業　1962年7月
設立　1971年12月
資本金　6000万円
事業内容　船舶用油圧システムの設計・油圧装置の製造
年商　81億円（14年12月期見込み）
代表者　井手敏文
従業員　170人
出先　［工場］下関［支店］福岡　東日本（静岡）、関西［サービスセンター］長崎、石巻、銚子

採用情報
募集職種　営業・設計・技術職
応募資格　高校、大学卒
採用実績　2013年6人、2014年18人
採用予定　3人（新卒）、中途採用は通年
問合せ先　TEL.092-711-1091
担当　総務部長　坂之上

（ふくおか経済EX2014年）