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(株)キシヤ
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付加価値の高い営業活動で 医療現場との信頼関係を構築
地場老舗の総合医療商社㈱キシヤは、沖縄を除く九州全域に拠点ネットワークを確立し、地域密着の事業展開で発展を続けている。医療費や社会保障費の急増が懸念される『2025年問題』を見据え、商品を販売するだけでなくコンサルティングも含めた付加価値の高い営業活動に取り組む。
物流網の総合的な再整備を検討
「社会が求める社会から必要とされる本物の企業を目指す。本物とは何かを常に探求しながら」。
九州屈指の総合医療機器商社㈱キシヤは、この経営理念のもと医療機関との信頼関係を築き、発展を続けてきた。昨年4月に㈲釜付メディカル(鹿児島市)を完全子会社化し、10月にはグループ会社の大同医科器械㈱を吸収合併。グループ4社体制で各分野の専門性をより高めるとともに、九州内のネットワーク網を強化している。近年は既存拠点の拡充など物流網の見直しを進めており、「点から面へ」をテーマに、営業所のみならず物流センターも含めた総合的な再整備の検討を進めていく方針だ。楠田幸次郎社長は「熊本地震のような災害発生時に備え、物流機能を相互補完する体制を構築し、リスク分散に努めていきたい」と話す。
2018年度に診療報酬・介護報酬の同時改定を控え、費用抑制の流れが継続し、業界は依然厳しい状況が想定されている。そのような中、「今一度メーカーや病院との信頼関係づくりに重きを置き、商品を販売するだけでなくコンサルティングも含めた付加価値の高い営業活動に取り組む」と原点回帰を示す。子会社㈱ティーエッチエルとの協業で展開するプライベートブランド商品の企画販売も加速。手術用ガウンや手袋、マスクなど取扱品目が増えている。さらにサイバーダイン社製の「ロボットスーツHAL®」など先端医療分野の提案にも注力。医療費や社会保障費の急増が懸念される『2025年問題』を見据え、その動きを本格化していく。売上高700億円を目指す5カ年中期経営計画も堅調に推移し、中間年度の今期(2017年5月期)は10期連続の増収となる630億円を見込む。引き続きM&Aや業務提携を活用し組織力の増強、商圏拡大を図る。
独自の研修プログラムを開発
九州地区におけるSPD(病院内物流一括管理)のパイオニアとして、第一線を走ってきた同社。1996年の開始から20年が経過した現在も、多くの医療機関で採用されている。物品の共同仕入・購入など多様化するニーズに対応できる豊富な経験と提案力こそが、多方面から支持を得ている大きな理由だ。「顧客から求められる内容は年々高くなっている。常に可能性を模索し、“深化”させていきたい」と語る楠田社長。昨秋から、営業3〜5年目の若手を対象に『営業プロフェッショナル研修』を開始。SPIN法を用いた営業ロールプレイングなどを通じてスキルアップを図る。「商材や顧客、商談の難しさなど、固有の課題を熟知したベテランが社内講師として教えることで、理解がより深まる」と自信を見せる。
同社はこれまで現場教育を基本とした人材育成で着実に成長を遂げてきた。「日々の仕事を通じて指導を受けながら、問題解決能力を向上させ、社員一人ひとりが成長していくことが重要」とし、新入社員から管理職までの階層別研修に取り組んでいる。採用活動も大学をはじめ教育機関との連携強化が実を結び、今春は過去最多の新卒26人が入社した。
真心を知識で包んで仕事に臨む—。創業100年を越える歴史と実績におごることなく、今後も地域医療の発展に貢献し続ける。
[CHECK]
「ダイバーシティ」の考え方のもと、女性採用枠の拡大、知的障がい者の雇用にも力を入れている
【DATA】
所在地 〒812-0062 福岡市東区松島1-41-21
TEL 092-622-8000
FAX 092-623-1313
創業 1910年6月
設立 1968年6月
資本金 5,000万円
事業内容 医療機器・病院設備・福祉及び介護用品販売 他
年商 630億円(2017年5月期見込み)
従業員 544人
出先 (営業所)福岡市西区、北九州、久留米、飯塚、佐賀、長崎、大村、佐世保、熊本、大分、宮崎、都城、鹿児島、鹿屋 (在宅福祉店舗・物流センター)福岡市博多区
関連会社 ㈱ティーエッチエル、㈱オルソ・メディカル、㈲釜付メディカル
URL http://www.kishiya.co.jp/
【採用情報】
募集職種 総合職(営業、物流管理)、一般職(事務)
応募資格 2018年大学卒業見込み(全学部全学科)
採用実績 14年20人 15年19人 16年17人
17年26人
採用予定 18年10~15人
問合せ先 TEL.092-510-1000
担 当 人材開発課 土井元昭・福田朱梨
(ふくおか経済EX 2017より)