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(株)アキラ水産
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新工場&ギフトサイト開設、業界発展のため魚食普及に邁進
鮮魚仲卸地場大手の㈱アキラ水産が新工場を稼働させ、ギフトサイトも開設するなど新たな取り組みを加速させている。一貫しているのは、創業以来その時々のニーズにあわせた「顧客第一主義」。そのDNAを持って、これからも魚食普及に力を入れていく。
鮮魚仲卸地場大手の㈱アキラ水産は昨秋、古賀市の福岡食品加工団地内に総事業費4億円をかけて「アキラ水産古賀工場」を完成させた。
グループ会社㈱アキラ・トータルプランニングの運営。工場内部は、うろこや内臓を取る1次加工室、3枚おろしなどの2次加工室、そのほか生食加工室、加熱調理室などを備え、「焼く」「煮る」「揚げる」「蒸す」とあらゆる加工が可能。量販店に向けての加工や新たな商品開発も図る。
同じく昨秋には、新たに通販サイト「アキラ市場」も開設。「アキラの鯛茶」や「あきらめんたい」として有名な鯛茶漬けやめんたいこをはじめ、一夜干し、ギフトセットなどをそろえる。
新工場、新サイトで“福岡のおいしい魚”を家庭に届けるべく、邁進中だ。
ISO9001、HACCP対応で品質管理徹底
業界に目を移すと、異常気象はたまた漁師の後継者不足などで漁獲高は減る一方。ただ、「そういう時こそ皆さんに魚を食べてもらうべく、魚食普及を推し進めていく」と安部社長は力を込める。
そのために、社員一人ひとりが徹底しているのが品質の追求。
同社では2006年に鮮魚仲卸として全国で初めてISO9001を認証取得。前述の古賀工場においてもHACCP(ハサップ・国際的な衛生管理手法)に対応し、入室前のエアシャワーや区画から区画へパスボックスを通して加工物を移動させる点など、ハイレベルな衛生管理を実現している。昨今の食の安心・安全のニーズに応えるこれらは、大正7年(1918年)の創業以来、同社に息づくDNAである「顧客第一主義」そのものだ。
1世紀にわたって続く「顧客第一主義」
同社のルーツは、博多の台所としても知られる柳橋連合市場の前身である、安部社長の祖父・栄次郎氏と伯父の明氏、父の篤助氏の3人が創業した「明市場」。当初から「箱儲け(魚を入れていた箱の分だけの儲け)」として今で言う薄利多売を実践。連日多くの客でごった返していた。
1960年に仲卸業に転向してからしばらくすると、安部社長のアイデアで「スーパーの時代がやってくる」として、いち早く量販店向けの品揃えに変更。2000年代に入ってからは魚をさばいておろす1次加工や2次加工、パッキング等の3次加工まで手掛けるなど業容を拡大してきた。薄利多売からその後のニーズの変化への対応も含めて、常に一貫しているのが「顧客第一主義」なのだ。
大阪中小企業投資育成から出資を受ける
この「顧客第一主義」に基づいて、「今後もお客様に喜んでもらえる魚を提供できるよう、川上から川下まであらゆる情報収集に努める」と語る安部社長。昨年末には、経営の安定を図るべく大阪中小企業投資育成から出資を受けた。
一方、社内では安部社長の背中を見て人材も育ってきた。今後は社員持ち株制度を検討するなどして開かれた環境を構築するとともに、次世代にまかせながら、自身はグループCEOとして業界発展のため今まで以上に魚食普及にも取り組んでいく。
[CHECK]
人気商品「アキラの鯛茶」は、元々来客用の手土産だった物があまりの評判で商品化されたという逸品
【DATA】
所在地 〒810-0072 福岡市中央区長浜3-11-3-711
TEL 092-711-6601
FAX 092-715-3293
創業 1918(大正7)年
設立 1947年4月
資本金 4,850万円
事業内容 (福岡市中央卸売市場)鮮魚仲卸全般
年商 98億円(グループ)
従業員 100人(グループ)
関連会社 ㈱コウトク水産、㈱一心、㈱安部水産、㈱四季海 、㈱アキラ・トータルプランニング
URL https://www.akirasuisan.co.jp
(ふくおか経済EX 2017より)