NEWS

受注環境は良好、収益確保できる判断を 髙田寿一郎高田工業所社長に聞く


—上期連結業績は売上高が微増、営業・経常利益ともに3割弱の減だった。

 髙田 売上高は、化学プラント分野での定修工事が少ない年だが、製鉄分野の建設工事が増えたため前年並みになった。ただ最近は、総じて化学プラントの老朽化が進んでおり、顧客の業績も悪くないので、定修工事以外でもメンテナンスを行う傾向にある。また海外では、マレーシアの子会社で日系メーカーの建設工事が完工し、売上高が伸びている。利益的には、定修工事が減少したため減益幅も大きくなった。

—下期の業況は。

 髙田 引き続き定修工事は減少するが、化学プラント分野での大型建設工事などがあり、上期よりは良くなるのではないかと予想している。

—受注状況は。

 髙田 好調で、来期完工予定の受注残が増加している。来期は定修工事も多く、仕事量としては心配ない。一方、当社においても人手不足が大きな課題。工事体制を綿密に把握し、受注しなければ十分な対応ができなくなる可能性もある。また大型の工事案件が多く、施工にあたっては十分な計画を立て、一つ一つの判断を誤らないようにしなければいけない。

—そのほか来期の取り組みは。

 髙田 来期から3カ年の新中期経営計画がスタートする。内容は検討中だが、やはり人手不足への対処が眼目になる。IT、IоT、AIなどを活用した省力化に取り組んでいる企業もあるが、当社も長時間労働への対策として、事務作業の中でもそれらを取り入れて残業を減らす取り組みが必要になってくる。今後3年間、仕事量としては心配していないが、これらにも着手しておかなければ、その次の中期経営計画の時にマイナスの影響が出る可能性がある。

また、今後検討すべき課題の一つに、定年制度がある。現在、当社の定年は60歳で、その後も9割の人を再雇用しているが、定年で役職を外れ、再雇用後にパフォーマンスが低下する例がある。また、再雇用となった社員の中には、処遇に対する不満もあるようだ。それらを受けて、定年の延長について検討し、導入されている会社にもヒアリングするよう担当部署に指示を出している。

ただ、定年の延長は、短期的に見れば良いかもしれないが、現役の芽を摘むことにもつながりかねないので、慎重に進めなければならない。私自身は、60歳定年を続けてうまく現役世代に引き継げれば、新陳代謝も維持でき好ましいと思っている。しかし理想と現実は違うし、より現状に則した処し方が必要だと考えている。

—最近気になる事柄は。

 髙田 目先としては、今の景気がいつまで続くか。ある経営研究会に参加したが、「今年下期から陰りが出てくる」との見方もあるようだ。また、竹中平蔵さんの講演では、「近年のオリンピック開催国は、その後ほぼ例外なく景気が落ちている」ということも耳にした。また、ポスト安倍の体制も含め気になるところだ。

2017年12月26日発行