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デイサービスがV字回復
介護DXと科学的介護の推進へ
(写真左上)シダー本社(北九州市小倉北区足立2丁目)
(右上)あおぞらの里舞松原デイサービスセンター(福岡市東区若宮2丁目)
(左下)フロア、(右下)カラオケルーム
全国111カ所で介護サービス事業を展開。デイサービスの利用者数がコロナ前の水準まで戻り、上半期は2期ぶりの黒字化とV字回復を果たした。介護記録システムや見守りセンサーの導入など、介護DXと科学的介護の推進に取り組む。外国人雇用もさらに強化し、介護人材の確保も進めている。
利用者数がコロナ前の水準に
デイサービス「あおぞらの里」、有料老人ホーム「ラ・ナシカ」を中心とした介護サービスを全国111カ所で展開。創業当時からリハビリテーションに重点を置き、一人一人とのコミュニケーションを大切にしてきた。永く、元気でその人らしく、健康に暮らすための支援をしている。
デイサービスは、ゆとりある空間を生かした大規模型施設(80人規模240㎡以上)を中心に展開。トレーニングルームをはじめ、カラオケやシアター、マッサージルームなど各個人に合った活動を楽しめるのが特徴だ。認知症対応デイサービスも設置し、既存施設を要支援・要介護の分類に加え、運動能力低下や認知症利用者に分けてそれぞれに合ったサービスを提供するなど、工夫を凝らしている。訪問看護、居宅介護支援などの在宅サービスにおいてもスタッフのきめ細やかなフォローがあり、利用者からの信頼が厚い。
介護付有料老人ホームは、施設見学や体験など気軽に入居できるシステムと24時間365日の万全なサポート体制が強みだ。1階フロアでは、スタッフがデイサービスと同等のサービスやリハビリを行い、居室では自宅に居るのと同様に、支援が必要な入居者は介護サービスを提供。家庭菜園など近隣の保育園や地域住民との交流ができるスペースもあり、好評を博している。
座小田孝安社長は「新規施設の開設はなかったものの、デイサービスの利用者数がコロナ前の状態に戻り、有料老人ホームの入居率も98.5%と高水準を維持している。上半期は2期ぶりに黒字化し、V字回復を果たすことができた」と胸をなでおろす。今後は下関幡生デイサービスセンターの新築移転も計画しており、その他既存拠点の改修も進めていく考えだ。施設展開では「高齢者人口が増加する1都3県と政令指定都市を中心に、ニーズのある地域への拠点検討と営業強化に取り組む」とし、引き続き特定施設の公募にも積極的に応募する方針を示す。M&Aの活用も視野に、事業拡大に努めていく。
(写真)研修に臨む技能実習生 |
(写真)年々受け入れ数が増えている |
外国人雇用をさらに強化
2024年度の介護保険制度改定において、介護報酬の改定率は1.59%の引き上げとなった。介護ロボットやICT等のテクノロジーの活用促進として、「生産性向上推進体制加算」が新設されるなど、生産性向上を促す内容が盛り込まれている。座小田社長は「介護記録システムや見守りセンサーの導入など、介護DXと科学的介護の推進に力を注ぐ。各種加算の取得も貪欲に進めていきたい」と説明する。
介護職員対策については、処遇改善加算を利用した賃金改善を継続するほか、介護福祉士などの資格取得支援で確保と定着を図っていく。また、外国人技能・特定技能実習生の受け入れもさらに強化。昨年11月にインドネシアとネパールから16人が加わり(受入先:北海道、千葉、神奈川、福岡)59人となった。2022年度は6人が介護福祉士試験を受験し、3人が合格した。現在は特定技能制度の登録支援機関に関する手続きを自社で実施できる体制を構築中。並行して、現行の制度に代わる「育成就労制度」への対応も進めていく。
また、令和6年能登半島地震を受け、被災地および被災者支援の一環として、支援物資輸送と職員派遣、入浴支援を実施した。「当面の間ボランティア活動を継続する予定」とさまざまな形で支援に取り組む。
座小田孝安 社長 ざこだ・たかやす/北九州市若松区出身。1963年1月25日生まれの61歳。国立療養所福岡東病院附属リハビリテーション学院卒。16年6月社長就任。趣味はスポーツ観戦 |
(ふくおか経済EX2024年)