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第七次中計2年目
人財の「個」と「組織力」の強化を図る

総合物流大手の山九グループ唯一の情報システム子会社。昨年4月に始動した第七次中計で「ソリューションインテグレータの進化」を掲げ、成長戦略を描く。2年目となる今期は『社員一人ひとりのスキル・業務レベル向上』と『組織力強化』を図る年」と位置づけ、人財戦略の取り組みを本格化していく。

中計初年度は過去最高業績に

昨年4月から、4カ年の第七次中期経営計画「ソリューションインテグレータの進化」がスタート。いつの時代になれども変わらぬ「より善き会社へ漸進していく」ための指針とした「インフォセンス・フィロソフィー」を掲げ、飛躍に向けたさまざまな取り組みが進行している。新WMS（倉庫管理システム）や新たなロジスティクス商材サービスの構築検討に加え、技術委員会の発足による全社横断的な活動が始動。保守運用部門においては、営業や他部門との連携が進むなど、一定の成果が上がっている。「ソリューションインテグレータ」とは、同社が新たに定義した言葉で、ITの枠に捉われず、顧客の悩みを解決するソリューションに基づいたプランを自社から提案するもの。システム開発や改修だけでなく、検討段階から開発・運用までワンストップで対応。「常に顧客に寄り添い、共に解決を目指すパートナー」をあるべき姿としている。辛島信司社長は「社員一人一人の役割や目標への落とし込みが着実に実を結んでいる。初年度の業績は売上高、利益共に過去最高となる予想」と自信を見せる。高い状況が続くIT投資意欲に対し、顧客視点を持った提案で企業の課題解決に貢献する。

顧客課題を理解し伴走する姿勢

「中期2年目は前半の折り返しとなる大事な年。継続して『社員一人一人の個』と『組織力』の強化を図っていく」と意気込む辛島社長。特に重要視しているのは、顧客課題を理解し伴走する姿勢だ。日常業務においても、新たな行動を起こしつつ何事も「＋α」の精神で取り組む組織作りを目指す。親会社山九㈱ではDX対応の強化が喫緊の課題となっており、基幹システムの再構築やデジタル化推進による生産性向上など、グループ内のITを一手に引き受ける同社の役割は実に大きい。社内の業務革新にとどまるDXが多い中、そこで得た知見を外販していく方針を貫いているのも「顧客課題解決の伴走者」であるという考えに基づくものと言えよう。「サービスのラインアップを拡充し、次期中期には外販に打って出る計画」と攻めの姿勢を崩さない。

人財戦略の取り組みを本格化

中期施策の進展に向けて、人財確保（パートナー含む）から配属、育成、ローテーションなど、戦略的な取り組みを加速させる。特に育成面は優先度を上げ、ITSS（ITスキル標準）、キャリア形成ガイドを刷新し、人事制度との連動を高めていく考えだ。「ビジネスモデルが大きく転換する中で、肝心の人財育成が進んでいないのが前中期における最大の課題だった」と振り返る辛島社長。昨年「人財戦略委員会」を立ち上げ、土台となる各部門の役割に応じた必要な「職種」と各職種の「レベル」定義の再整理からスタートした。この土台をベースに要員確保から配属、育成計画、キャリアガイドなどを策定していく。
また、フィロソフィーの浸透による風通しの良い企業風土の醸成にも力を注ぐ。4月から改善提案制度「i-KAIZEN（イーカイゼン）」を開始。働き方に関わる工夫やアイデアを、誰でも自由に提案できるもので、良い内容は社内で共有し表彰する。併せて給与ベースアップ、定例賞与アップの処遇改善に加え、資格免許手当も新設した。「自律的に考え『考動』する組織へ変革していくとともに、褒める文化を作りたい。会社としての成長を実感できる一年にする」と決意新たに挑む。

辛島信司　社長 からしま・しんじ／千葉県出身。1969年3月5日生まれの55歳。専修大学経営学部卒。91年4月山九㈱入社、95年7月㈱サンキュウ・ダイネット（インフォセンスの前身）出向、97年10月山九㈱経営企画部情報システムグループ。以降労政部業務グループなどを経て、15年10月経営企画部経営企画グループＧＭ、16年10月日本工業検査㈱出向、19年4月㈱インフォセンス出向事業本部副本部長、19年6月事業本部取締役副本部長、20年4月から現任

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（ふくおか経済EX2024年）