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農園芸に新風吹き込むイノベーションカンパニー

（写真右上）「らく楽ガーデン」花壇で作業する高齢者
（左下）SSPではサツマイモ基腐病について講演活動も実施
（右下）福岡市西区の「welzo研究農場」で収穫されたキュウリ

2023年12月期の売上高が過去最高となるなど成長を続ける農業資材や家庭園芸用品、飼料、および肥料原料の専門商社㈱welzo（ウェルゾ）。M&Aによる事業拡大、九大とのスマート農業に関する共同研究、農園芸に通じた社会貢献活動など、業界にイノベーションを起こす取り組みが進んでいる。

農園芸の付加価値創造専門商社へ

組織再編や社名変更で、社員の意識改革が進み、新領域、新分野に挑む社内風土が確立されてきたwelzo。2023年1月には、自社ブランド商品を開発する専門部隊を立ち上げ、土のいらない観葉植物「well plants」をリリースしたほか、社内DXで情報コミュニケーションプラットフォームを一元化させ、情報共有のスピードを上げるなど、農園芸のイノベーションカンパニーとして挑戦を続けている。23年12月期の売上高も過去最高となる中、農園芸業界に置ける付加価値創造専門商社を目指し、積極的な事業拡大を図っている。

農業、園芸を通じて社会課題を解決

多数の新規プロジェクトも進行中のwelzo。その象徴と言えるのが九州大学大学院農学研究院と福岡市西区の「welzo研究農場」で取り組むスマート農業に関する共同研究だ。農作業しやすい高さに栽培マットを設置し、キュウリを育てる「高設栽培」の確立や、センシング技術の向上、的確に水やりを行う灌水システムの開発など、施設農業に関する研究が進んでいる。
一方、農業や農園芸を通じた社会貢献活動にも積極的に参画。昨年5月にはサツマイモ基腐病（もとぐされびょう）に関する産学連携コンソーシアム（通称SSP）を設立した。サツマイモ基腐病は、感染すると葉や茎が枯れ、サツマイモが腐敗する病気で、収穫量が半減したサツマイモ農家もあるという。そこでSSPでは、加盟する九州大学や鹿児島の焼酎メーカーなど13社・団体とともに、未だ解明されていない基腐病に対する効果的な「防除法」の開発や耐性ある品種の育種などを推進。さらには焼酎のイベントなどを通じて、基腐病からサツマイモを守る啓発活動にも励んでいる。
そのほか、認知症当事者や施設に通う高齢者がお世話をする「らく楽ガーデン」花壇の設置と運営や、誰もが使いやすい園芸アイテムやキットの開発を進行。園芸に触れることによる生きがいづくりや、「老いることを楽しむ」社会の実現に貢献している。また、子供向けに公園のスペースと植物を活用した「HAPAパークプロジェクト」も展開。アイランドシティ中央公園で年数回実施する宝探しイベントを通じて、身近な公園で植物や文化に対する興味・発見を得られる体験を子どもたちに提供している。

（写真）土のいらない観葉植物「well plants」

1千億円企業へ事業基盤固める

さらなる事業規模拡大に向けて取り組みを進めるwelzo。24年2月には、栃木県小山市で花束加工を行う第2フラワーセンターを稼働させた。日量3万束以上が生産可能なオランダ製束加工機で花束を加工しており、千葉県佐倉市の第1フラワーセンターと合わせ、関東エリアでの園芸、および生花関連事業の拡大を狙う。
そのほか、ECサイトの充実化、グループでの階層別教育の強化や、情報交流機会の拡大、DX推進による業務効率化の推進も図るなど、金尾佳文社長は「売上高1千億円企業に向けて事業基盤を固めたい」と意気込みを語った。

金尾佳文　社長 かなお・よしふみ／鹿児島市出身。1964年10月26日生まれの59歳。横浜国立大学工学部卒業後、87年4月伊藤萬㈱（現日鉄物産㈱）入社。2006年㈱ニチリウ（現ニチリウ永瀬）に鹿児島営業所長として入社。07年関連会社のエンゼル㈱（現㈱サンアンドホープ関西工場）に異動。16年サンアンドホープ取締役、17年代表取締役専務兼ニチリウ永瀬営業本部長補佐、18年ニチリウ永瀬専務取締役営業本部長、19年の副社長を経て、20年4月に社長就任。趣味は読書、釣り

採用情報
募集職種／総合職
応募資格／短大・大学・大学院卒
問合せ先／広報ブランディング室（kouhou@welzo.co.jp）
※詳しくはHPをご覧ください

（ふくおか経済EX2024年）