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来年末稼動めどに約200億円かけ北九州製作所内に新工場   デンソー   ディーゼル車用部品製造、12月にも着工


 国内最大手の自動車部品メーカー、株式会社デンソー(愛知県刈谷市、深谷紘一社長)は、来年末の稼動を目指し、カーエアコンを生産する同社北九州製作所(北九州市八幡西区)敷地内に、ディーゼル車用燃料噴射装置部品を製造する新工場を建設する。投資額は約200億円で、12月にも着工する予定。
 車両生産拡大に対応した生産体制強化の一環。建物は敷地面積15万6,400平方m、建築面積約2万3,000平方m。延べ床面積と階層は検討中のため未定。生産するのは、コモンレールシステムと呼ばれる燃料噴射装置のインジェクタ部品。コモンレールシステムは、超高圧化した燃料を電子制御噴射することで、ディーゼルエンジンの排出ガス中の有害成分である粒子状物質と窒素酸化物の発生を抑制することができるもの。
 現在、ディーゼル車市場は、環境意識が高まるなかで、厳しい排出ガス規制値をクリアしたクリーンディーゼル化の流れがあり、クリーンディーゼル化の核となる技術であるコモンレールシステムは欧州市場を中心に需要増が見込まれているという。

 来年4月に北九州製作所を分社化

 また、同社は、今回の新工場建設とコモンレールシステム部品の生産に伴って、来年4月に北九州製作所を分社化し生産子会社とする。
 地域密着の会社を目指すとともに、分社化で機動性と柔軟性を高め競争力強化を図る。新会社の社名は「株式会社デンソー北九州製作所」。本社所在地は北九州市八幡西区本城5丁目。デンソーの100%出資で、資本金は約60億円になる見込み。社長には柳生昌良デンソー常務役員が就任する予定。
 デンソーは、コモンレールシステムを国内では西尾製作所(愛知県西尾市)と善明製作所(同)で、海外ではハンガリーとタイの工場で生産している。
 新会社は、西尾・善明両製作所とともにマザー工場として位置付けられ、同システムの部品を欧州・アジア市場向けとしてハンガリーとタイの工場に出荷する。これにより同社は従業員の拡充も進め、2010年度をめどに、従業員1,100人、売上高約320億円体制を目指す。また同年度にカーエアコンの生産台数は年間約100万台を見込む。
 同社は1949年12月設立。資本金は1,874億円、従業員は連結で約10万4,000人、連結売上高は2兆7,999億円(いずれも05年3月期)。国内に製作所が9つ、工場が2つある。
 現在の北九州製作所は、カーエアコンを約75万台(05年度)生産する。従業員は210人(05年度)。