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大牟田市西港町の「三井港倶楽部」をリニューアルオープン   港倶楽部保存会   初年度売上高1億8000万円目指す


 地元経済人らの出資で設立した、株式会社港倶楽部保存会(同市西宮浦町、社長・坂口健治大牟田商工会議所副会頭)は、三井鉱山株式会社(東京都江東区豊洲3丁目、山保太郎社長)が所有していた大牟田市西港町の洋館「三井港倶楽部(みなとくらぶ)」を、11月7日にリニューアルオープンした。
 同館は三井鉱山株式会社が産業再生機構の支援下に入ったため、昨年12月に売却を前提に閉鎖していた。同館を重要な歴史的遺産として整備し、保存を目指す坂口副会頭(株式会社旭精機会長)をはじめとする地元経済界人らが、今年3月に同社を設立し、10月5日に7,000万円で買収していた。同館は約4,000万円を投じ、老朽化した壁の張替えや塗り替えを中心に改装し、レストラン、喫茶を中心に結婚式場としても利用していく方針で、初年度売上高1億8,000万円を目指す。
 今回の買収にあたっては、昨年12月初旬から大牟田商工会議所および大牟田市内の経済団体を中心に、同館の保存を呼びかける署名運動を開始。その後1カ月で2万9,000人の署名を獲得した。当初は5億5,000万円での売却を提示されていたが「約3万人の署名と大牟田市民や同館を利用した方々の声が届き、想定外の価格で買収できた」(坂口社長)という。
 館内のインテリアや食器、トイレなど1908年の開館当初のものを利用するという。営業時間は午前10時から午後10時まで。1階には80人収容のレストラン、喫茶、2階には個室が四部屋で合計45人収用できる。
 三井港倶楽部は1908年、三池港の開港とともに開館。以来、外国高級船員の宿泊や接待、皇族や政財界人の迎賓館として広く利用されてきた。86年からは結婚式やレストランとして一般にも開放されていた。
 坂口社長は「歴史的遺産として価値ある同館の雰囲気を上手く利用して、大牟田市外からの入館者を拡大していきたい」と話している。
 同社は05年3月設立。資本金1,000万円。従業員数8人。
 坂口健治氏は大牟田市出身。1941年8月12日生まれの64歳。中央大学卒。半導体真空機器の製作、加工、卸、メンテナンスの株式会社旭精機(大牟田市西宮浦町)を81年7月に設立。半導体製造装置が停止せず、長持ちするように、あらかじめ24時間体制でメンテナンスをする「プレメンテナンス」の草分け的存在として、全国区企業に成長させて、01年から会長を務めている。また、大牟田商工会議所副会頭などの要職にも就いている。