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コボル資産移行事業で今年度10社受注目指す   BCC   専任エンジニアは30人体制に


 ソフト開発、受託計算の株式会社BCC(福岡市中央区六本松2丁目、冨田峰雄社長)は、今期からCOBOL(コボル)資産移行事業「レガシーマイグレーション」を本格稼動し、今年度内に国内10社での導入を目指している。
 具体的にはプラットホーム(ハード・OS)の稼動システムの棚卸、分析調査後、変換ツール「AJTOOL」によって、COBOLプログラムをACUCOBOL(アキュコボル)言語に変換し、最新のネットワーク環境に適したオープンCOBOL環境を再構築する。また、ACUCOBOLではプラットホームを選ばないことからメーカーにとらわれず、従来のCOBOL開発技術者が、そのまま運用管理やシステムのカスタマイズを行なうことが可能となる。
 これにより、企業用の汎用大型コンピュータはオープン環境下でのクライアントサーバー型やサーバベースドコンピューティング型に変更できる。同社の自社汎用機のマイグレーションでは、ランニングコストは導入前の6分の1まで削減、レスポンスの向上でバッチ処理速度が14時間から約2、3時間に短縮できたという。投資額は新規構築と比べて相当額のコスト抑制が可能で、移行後はランニングコストの削減で約3年での投資額回収を目指している。
 COBOL資産とは長年、汎用機などのメインフレーム上で稼動しているCOBOL言語で開発されたアプリケーションの総称。主に基幹システム開発に採用されてきたが、その開発費用はハードウェアを含めると数億円の費用を要した。従来の汎用大型コンピュータや、オフィスコンピュータのシステムではCOBOL言語が使用されており、メーカーによる汎用機の保守停止や維持コスト増大などが大きな負担となっている。
 オープンシステム環境が主流となる現在では拡張性・互換性に欠けるため、同社では2000年から、COBOL言語で構築された資産を、オープン環境に移行する「マイグレーション事業」を開始していた。この移行により、ランニングコストが従来に比べ、大幅に削減できるなどのメリットがあることから、最近ではシステム環境の改善を計画している企業の問い合わせが増えていた。同社では昨年から、エンジニアを増員し約30人のサポート体制で本格的にマイグレーション事業を推進している。
 冨田社長は「企業の汎用大型コンピュータなどは、それぞれのメーカーが使用していたソフトやシステムで一貫しており、互換性がないため、ランニングコストの高騰に歯止めが利かないというデメリットがあった。現在の資産を活用しながら、次世代に向けたシステムへの移行を更に提案していきたい」と話している。
 同社は1966年10月創業、設立。資本金は2億4,786万円。従業員数は342人。2004年3月期売上高は53億6,860万円。COBOL資産移行事業の基幹ソフトウェアとなる「ACUCOBOL-GT」は、米国ACUCORP社が開発したもので、東京システムハウス株式会社(東京都品川区西五反田7丁目、高橋勝也社長)が日本での総販売元を務める。現在までの国内におけるACUCOBOLによる移行実績は、約四百事例で製品導入は約1,500社となっている(05年11月現在)。同社はその九州地区での業務パートナーを担当している。
 冨田社長は山口県下関市出身。1942年6月26日生まれの63歳。九州大学法学部卒。趣味はステンドグラス作り。