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売上横ばいの309億円、経常減益   電通九州   九州に景気回復波及せず


 広告会社・株式会社電通九州(福岡市中央区赤坂1丁目、中野正道社長)の06年3月期決算は、売上高が309億1,300万円で前期比1,000万円増のほぼ横ばい、経常利益が7億7,400万円で同6.0%減、当期純利益が3億7200万円で同17.1%減となった。
 「2005年(平成17年)日本の広告費」(株式会社電通調べ)によると、05年(暦年)の日本の総広告費は5兆9,625億円で前年比101.8%と2年連続の増加となった。しかし、景気回復による広告出稿増は九州域内には必ずしも波及せず、同業者間競争が激化する厳しい事業環境の中、同社は昨年7月に営業部門と一体となって総合的なプランを作る「アカウントプランニング部」を新設するなど、広告主への多面的な働きかけで実績を積み上げ、前期売上高を維持した。
 同社は株式会社電通の国内営業ネットワーク再編に伴い、95(平成7)年1月に株式会社電通100%出資の地域会社として設立。資本金4億円。従業員数189人。05年3月期の売上高は前期比22.6%増の309億300万円で、九州の広告会社としては売上トップに位置する。

 常務に内山取締役が昇格

 また同社は5月24日の決算取締役会で、常務に内山健三取締役支社統括本部長が昇格する役員人事を内定した。
 6月22日開催の定時株主総会およびその後に開かれる取締役会で正式に決定する。前社長の三輪昌三顧問は同日付で退任する。
 内山氏は福岡県出身。1945年2月1日生まれの61歳。早稲田大学政治経済学部卒。69年4月株式会社電通入社、同7月九州支社新聞1部、70年5月新聞雑誌支配人室、71年8月マーケティング部、74年4月第1連絡室、77年7月東京本社第11連絡局(同12月職制改正で第6連絡局連絡部副部長、78年4月職制改正で副部長職階廃止、83年職階改正で第6営業局営業部勤務となる)、90年1月入船第6営業局、92年12月営業部長(94年6月職制改正で第11営業局営業部長)、2001年4月第11営業局次長を歴任。02年7月株式会社電通九州統轄本部副本部長に就任(出向)、03年6月同取締役営業本部副本部長(同社に転籍)を経て、04年7月から同支社統括本部長を務めている。新体制は次の通り。
 ▼社長 中野正道▼専務 社長補佐兼営業本部長兼統轄本部担当佐野文宏▼常務 ソリューション本部長嘉嶋隆夫、(取締役)支社統括本部長内山健三▼取締役 メディア本部長野口裕、建設業関連業務担務小泉純理▼非常勤取締役 株式会社電通グループ事業本部グループ経営推進局プロジェクト・マネージャー石川清貴

 中国進出サポートの事業室を開設

 また同社は6月1日付で営業本部に「中国事業室」を開設した。
 これは生活者・広告主・メディアの環境変化に対応する組織体制構築の一環で、近年顕著になっている中国に対する九州の企業、自治体の広告、PR活動を専門的にサポートするのが目的。売上目標などは具体的に設定していないが、最近増加傾向にある観光分野や通信販売などの「BtoCビジネス(消費者向けビジネス)」に積極的に取り組んでいく。
 具体的には、上海にある株式会社電通の子会社「北京電通広告有限公司 上海分公司」と提携して、サポートデスクを同社内に置き、中国の市場情報、メディア情報を収集し、九州の企業、自治体におけるコミュニケーション活動を支援する。室長は担当役員である佐野文宏専務が兼任し、当初は担当者1人でスタートする。
 同社では04年6月から株式会社電通リサーチと提携し、アジア進出ニーズを持つ九州の企業・自治体向けに中国における生活者や企業の実態・動向を把握するための総合調査サービス「D‐ANS・for CHINA(ディー・アンサー中国版)」の提供を開始。今後は広告会社の強みを生かし、プロモーション活動、メディア展開、ブランディングに至るまで一貫した支援態勢を整える。