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水濡れ携帯電話のデータ復旧サービス開始  第一施設工業    NDDと提携し特殊専用装置開発


 半導体・液晶工場のクリーンルーム(無塵作業室)向け搬送システム製造、第一施設工業株式会社(粕屋郡新宮町大字上府、篠原統社長)は、5月から水濡れや水没した携帯電話のデータ復旧サービスを開始した。
 同社はソフトウェア開発の日本デジタルデザイン株式会社(以下NDD、久留米市津福本町、須山雅義社長)と提携し、独自の技術と特殊な専用処理装置を開発し、データ復旧率80%以上(同社実験値)を実現。水濡れした携帯電話は保証対象外で、携帯電話事業者や販売店ではデータ取り出しサービスを行っておらず、電話帳やメール、画像などの大切なデータを復旧できないケースが多い。同社の推計では、九州で年間2万件、全国で20万件の潜在需要があり、今回事業化した。
 サービスの仕組みは、携帯電話を水濡れさせてしまった場合、すぐにバッテリーを取り外し、端末やバッテリー、充電器、メモリーカード(FOMAの場合は不要)を、水濡れ状況や機種名、暗証番号、氏名・住所・電話番号などのメモを添えて糸島郡志摩町の同社サービスセンターに送ってもらう。同センターで3日程度預かり、復旧したデータをCD─ROMに入れて返送する。復旧料金は9,850円(税込み)で、送料は自己負担。個人情報保護法に基づき、独自の管理システムでデータ流失の防止も徹底しているという。
 同社ではNDDと共同でインターネットや交通広告などの展開のほか、提携先の開拓も検討しており、初年度で6,000台、2年目に1万台の受注を目指す。

 携帯電話用の遮音ボックスを販売

 また同社は6月から携帯電話用の遮音ボックス「サイレントステーション」の製造販売事業にも着手した。
 同製品は優れた遮音性で周囲の騒音をやわらげ、静かな環境での携帯電話の通話を可能とするのが特徴。高遮音と標準の2タイプあり、外寸は一般的な公衆電話ボックスと同等の大きさ。外装色は赤と青、ドアは右開き、左開きから選べ、電気工事不要で、設置するだけで利用できる。
 同社環境事業部では、パチンコ店などへの消臭ボックスの納入実績があり、そうした騒音の激しいアミューズメント施設や、駅、図書館などの公共施設、レストラン、病院など携帯電話の使用を制限している場所などに販売していく方針。
 同社は1967年7月設立、資本金7,950万円。エレベーター据付工事業から90年に研究開発型メーカーに転換。91年に開発した無塵昇降装置が国内・東南アジアの液晶・半導体工場で約80%のシェア獲得。07年1月期は売上高31億3,000万円、経常利益1億5,100万円。次世代の「非接触搬送機」の受注に力を入れる一方、今年4月に新潟市の高所作業台メーカーを子会社化するなど新規事業も推進している。