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廃石膏ボード再利用で福大などと共同研究  三和興業    地域内処理システム確立へ


 解体工事、リサイクル業の株式会社三和興業(福岡市東区名島5丁目、大山賢玉〈けんぎょく〉社長)は、今期から福岡大学や県内の廃石膏リサイクル業者などと同リサイクル分野の研究会を発足し、産学連携の共同研究を開始した。
 石膏ボードは近い将来、建設リサイクル法で定める特定建設資材として追加され、その再資源化の義務化が予想されることから、石膏ボードをリサイクルしてできる「半水石膏」の用途拡大などを研究するとともに、県内各地域の同業者が連携することで、そのビジネスモデルを波及しリサイクルネットワークを構築する狙い。半水石膏は水と反応し固化し、pHが中性域なので環境にも優しいといった特性がある。この特性を活かし泥土や軟弱地盤の固化材・改良材など、さまざまな用途が期待されており、研究会では半水石膏の品質管理方法の確立、固化材や土壌改良材としての施工マニュアルの整備、その他用途の開発、商品化および流通などに係る研究を進める。また、既に関東や関西では大手業者が石膏ボードリサイクルに関するホールディングスを設立するなど、将来に備えた動きが全国的に活発化しており、まずは県内で発生した廃棄物を県内でリサイクルする地域内処理システムの確立を当面の目標とする。
 石膏ボードは防火性、遮音性に優れた建築材料として幅広く用いられている一方、数年前に埋め立て処理された廃石膏が廃棄物処理場の地下水に生息する硫酸塩還元細菌に代謝されて硫化水素を発生させた事故により、06年6月からその処理は、「安定型処分」から「管理型処分」へと指定変更された。廃石膏ボードは粉砕分離しただけだと二水石膏と言い、あまり使い道がなく、現在大部分が埋め立て処理されているが、その二水石膏を良質な半水石膏に変えることで、再生石膏ボード原料や土質改良材、泥土固化材など再資源用途となる。
 同社は1963(昭和38)年4月創業、86年2月設立。資本金3000万円。設立以来、建造物解体の豊富な実績を軸に、近年、産業廃棄物処理・リサイクル事業を積極的に展開。中間処理場と最終処分場を県内各所に保有し、解体工事施工から廃棄物の運搬・処分までのトータルシステムを確立。また、リサイクルセンター(粕屋郡篠栗町)やエコセンター(飯塚市)でコンクリート・アスファルト・木くず・石膏ボードのリサイクルに取り組み、それぞれ再生砕石・木質チップ・土質改良材として再資源化している。07年8月期売上高は前期比23%増の27億3257万円、今期は30億円突破を見込む。