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「財務体質改善で不動産仕入れに弾み」  シノケングループ    篠原英明社長に聞く


 急激に環境が悪化した不動産業界にあって投資用アパート・マンション建設販売の株式会社シノケングループ(福岡市博多区博多駅南1丁目、篠原英明社長)は、今年3月期の売上高を前期比5割増の約300億円と大きく伸ばした。現在、土地の仕入れ価格低減や入居率確保で販売物件の付加価値向上を図っている同社の篠原社長に聞いた。
 ―マンションデベロッパーが倒産するなど、福岡の不動産業界は停滞気味ですが、今後はどうなると見ていますか。
 篠原 さらに厳しくなってくるでしょうね。まだこれからです。夏以降落ち着くという楽観的な見方もありますが、来年いっぱいは続きそうです。
 ―シノケングループの3月期の売上高は5割増の約300億円ですが、営業利益は11億3100万円で8・8%減、経常利益は14・8%減の9億1000万円になっていますね。
 篠原 利益率の高い木造アパート販売よりマンション販売の比率が高くなったことも要因です。また、改正建築基準法の影響、賃貸管理物件の入居促進のためのコスト増も影響しました。
 ―売上原価が上がっていますが、建築コストも増えているのですか。
 篠原 木造と比べて原価率が高いマンションの売上高の伸び幅が大きかったことが一番の理由ですが、確かに建築コスト自体も増えていて、その分で原価率が2%ほど上がっています。
 ―投資用物件販売では、コスト増が利回りに影響してくるでしょう。
 篠原 その分、土地の仕入れ価格を交渉する努力をしていますから、今のところは建築コスト上昇分を何とか吸収できています。今は土地を売る必要に迫られている会社が多いので、我々からするとチャンスです。ただ、それも財務体質が良くないと仕入れのための資金調達にも問題が出てくると思います。当社の場合、売り上げが伸びて借入金が減ったことで自己資本比率も上がり、キャッシュフローも改善していますので、金融機関から応援を頂き新規の仕込み物件に関しても、ご融資いただいている状況です。
 ―今の相場より安い価格で買えるのですか。
 篠原 買えるケースもあります。財務面が厳しくなって売らざるを得ない状況になっている事例は、福岡だけでなく、東京などでも出てきています。これはもっと増えてくるのでは、と考えられます。
 ―仕入れ面では追い風ですね。
 篠原 ただ、福岡ではよほどのことがないとマンション用地は買えません。大型物件は動きが止まりましたからね。しかし入居のことを考えるとかえっていいんです。福岡市の人口はこれからも増え続けます。物件の供給が減りますので、福岡で賃貸物件を建てて売ることに関してはプラスに働くと思いますよ。また、利回りでは入居率が重要ですから、現状の努力をしっかり続けていけば、投資家への影響は少ないと考えています。
 ―御社の管理物件の入居率はどうですか。
 篠原 CMや人材投入などコストをかけて底上げを図りました。それで福岡の稼働率はずいぶん良くなり、全体の入居率は92%くらいです。管理戸数も去年の3月期より2000戸以上増え、今年3月末現在で1万610戸になっています。(詳細はふくおか経済2008年8月号に掲載)