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「ライバルは東京、大阪」  唐池恒二JR九州代表取締役専務(博多まちづくり推進協議会長)に聞く


 博多駅新ビルは2011年春の開業に向け、順調に建設が進んでいる。これに歩調を併せて今年4月に発足した「博多まちづくり推進協議会」も周辺地区の整備を視野に入れた活動を展開中だ。協議会の会長であり、JR九州では総合企画本部長などを務める唐池恒二代表取締役専務に聞いた。
 ―4月発足以来「博多まちづくり推進協議会」の活動が進んでいるが。
 唐池 協議会の目指す将来像は、ひとことでいうと「歩いて楽しい街」。そのためには景観なども含めたルールづくりのためのガイドライン策定に入っており、来年の秋頃には何らかの形で打ち出したい。現在募集している「はかたの未来予想図」の意見も汲み上げてガイドラインの参考としたい。周辺の各通りに付けた「通り名」もいろいろと意見をいただいており、それを元に最終的に決定していきたい。また、今年はクリスマスシーズンの駅前のイルミネーションを「駅前通り活性化協議会」から引き継ぐ形で実施する。加えて御供所町エリアに関しては「博多灯明ウォッチング」に協賛し、博多駅からの通りに、歩いていく際の道案内として「行灯」を置くことも考えている。
 ―博多駅新ビル建設の進捗状況は。
 唐池 工事全体はスケジュール通り着々と進行中。旧井筒屋の部分は地下の整備をしているが年内ら年明けごろから躯体が立ち上がっていくと思う。駅ビルのテナントは、阪急百貨店、東急ハンズ、シネコンのT・JOYと主要な3施設が決まっているが、の来年春頃から専門店ゾーンのテナントリーシングをスタートする。
 ―新駅ビルは就労人口6000~7000人になるということだが。
 唐池 以前は1000人もいなかったと思うが、長崎や鹿児島の新駅ビは博多よりははるかに小さい規模で2000人から3000人。博多の新駅ビルは、規模や内容から推し量ってそれくらいの数にはなると思う。その人たちのランチタイムやアフターファイブをねらった店がビルの外に出来て周辺の賑わいにつながっていくだろう。
 ―北九州や熊本から、福岡への流入がさらに増えるのでは。
 唐池 近辺から奪い取るのではなく、ライバルは東京、大阪。特にアジアの観光客をどうやって福岡に吸引するかだ。現在、協議会では駅からキャナルシティのゾーンを中心に社会実験をしているが、今後は天神と博多駅を結ぶ回遊軸をきちんと作るという方向性が必要になると思う。
 ―ディズニー関連施設の進出が白紙になり、不動産の動きも停滞している。新駅ビル開業、まちづくりに対して不安要素では。
 唐池 逆に落ち着いて、かえって街に合った開発が進めやすいと思う。少なくとも乱開発にならない状況だ。まちづくり協議会でも、2011年はある意味「スタート」だ。そこから一つ一つ作り始めるのだと思う。また、駅ビルが出来てからでないと、店舗店関係もビルのオーナーも、その気にならない面があるだろう。キャナルシティ博多のケースも、開業してから川端商店街が賑い、周辺の店が整備され始めた。それに不動産業者、デベロッパーも、特に今は慎重になっている部分があるだろう。