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「中小企業の資金需要円滑化が最重要課題」  福岡県の麻生知事    雇用の確保と創出へ対策本部設置


 福岡県の麻生渡知事は、12月9日、ふくおか経済新年号インタビューに応じ、中小企業支援、雇用問題、新産業の創出、福岡空港問題や地方分権について語った。要旨は次の通り。
 ―世界経済が急減速していますが、中小企業の支援についてお聞かせください。
 麻生 輸出産業の減産をはじめ、県内でも景気の後退が著しく進んでいます。その中で取り組んでいかなければいけないのは中小企業の金融対策ですね。 
 今回の世界経済の大混乱の原因は金融問題です。私たちはこれを過去に経験していますが、あの時のように中小企業が貸し渋りなどに遭うことだけはなんとしても避けなければなりません。そのために県では、11月から「緊急経済対策資金」の新規融資枠を17億円から300億円に拡大し、対象も185業種から545業種に拡大しました。多くの中小企業から融資申込みが殺到しているため、12月からさらに融資枠を600億円まで拡大するとともに、対象業種も698業種に拡大しております。
 今後も県では、年末・年度末に向け中小企業の資金需要の円滑化を図ることを最重要課題として取り組んでいきます。  
 ―雇用問題については。
 麻生 雇用の確保と新たな雇用の創出を図るため、年末に「福岡県緊急雇用対策本部」を設置しました。政府が検討している第2次補正予算案の中で、4、000億円の雇用創出基金設立が予定されていますので、こちらを活用して当面の雇用対策を実施します。
 ―当面の雇用対策とは、具体的にはどのようなものですか。
 麻生 派遣労働者の契約期間満了による雇い止めが問題になっていますが、その方たちが別の産業で働けるように、マッチングを進めていきたいと思います。あるいはこの間に、再就職に向けてこれまでとは違う分野の能力、技能を身につけてもらうための技能訓練の実施やキャリアコンサルタントの派遣が必要かと思います。
 また懸念しているのは、学生の内定取り消しが発生していることです。これについてはどうしても就職できない場合には特別な対策を講じなければいけないと考えています。2003、04年度にも就職が決まらなかった高校生を半年ほど非常勤嘱託として県で採用し、各部署で仕事をさせながら、就職活動を行ったことがありました。
 ―しかし実需が増えなければ、企業も採用に慎重になります。
 麻生 ですから、国の第二次補正予算案で予定されている地方活性化のための6000億円を活用しながら、学校の耐震化事業、道路の補修など必ずしなくてはいけない公共事業を前倒しで進めていきます。
 しかし、従来の産業で高い成長を見込むことは困難です。そこで、雇用問題を解決するためにも、新しい産業、市場を生み出していく必要があります。幸いなことに、県内にはこれから世界市場を見込める新製品の種がたくさんありますからね。(詳細はふくおか経済2009年新年号に掲載)