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早良区東入部の採種施設が本格稼働  西日本タネセンター    1期工事完成で


 地場種苗メーカー・中原採種場株式会社(福岡市博多区那珂5丁目、内村清剛社長)の子会社・西日本タネセンター株式会社(同市早良区東入部4丁目、諸岡譲社長)が、同地に整備を進めてきた採種施設が10月21日、本格稼働した。
 施設は福岡市消防学校東側に広がる農地の一角にあった牛舎跡地。昨年から、1期工事として国内でほとんど行われなくなった採種施設を整備してきた。敷地面積は約3000ヘクタール。種子を生産するビニールハウス43棟をはじめ、本社事務所、加工施設、最大250トンの種子を備蓄する低温低湿倉庫などを整備していた。7月には一部を稼働し、農研機構(国立研究開発法人・農業食品産業技術総合研究機構)や福岡県、山口県からブランド農産物の採種を受託していたが、10月半ばに43棟すべてのビニールハウスが完成したことで、本格稼働した。今後、世界の種苗界で、日本のお家芸として高い評価を得ている高品質種子・F1品種の採種を本格化させる。
 同社は2015年3月設立。西日本シティ銀行がA-FIVE(株式会社農業成長産業化支援機構)と共同で組成した農林水産向けファンド「NCB6次化ファンド」から出資を受け、日本国内ではほとんど行われていなかった採種専業会社として事業化を進めてきた。種苗業界における採種は、気候変動や海外生産のコスト高、カントリーリスクなどが懸念されていることから、同社は業界に先駆けて施設の整備を進めてきた。諸岡社長は「採種はニッチな分野だが、今後、成長が期待できる。国内回帰に初めて取り組む専業会社としてリードしていきたい」と話している。今後も需要が期待できることから、同社では2020年度をめどに経営面積を現行3ヘクタールから20ヘクタール(ビニールハウス300棟分、農家委託を含む)まで拡大していきたいとしている。