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コロナの影響脱し全セグメントで増収増益 九州旅客鉄道


週刊経済2024年8月14・21日発行号

古宮社長インタビュー抜粋

九州旅客鉄道㈱(福岡市博多区博多駅前3丁目)の古宮洋二社長は、本誌9月号「地場主要企業トップインタビュー」に応じ、3期連続の増収増益を達成した前期決算を振り返っての感想を始め、好調だった事業の現況や非鉄道事業を75%まで引き上げる方針などについて語った。以下、インタビューを抜粋。
―2023年度決算では売上高にあたる営業収益が前期比9・7%増の4204億円、経常利益が37・1%増の489億円と3期連続の増収増益を達成した。
古宮 コロナの5類移行に伴い社会経済活動が正常化し、人の流れも戻ったことで、23年度は運輸サービス、不動産・ホテル、流通・外食、ビジネスサービスセグメントにおいて増収増益となり、計画値を超える結果となった。今期は社会経済活動の正常化の定着などでさらに収入増を見込み、営業収益が前期比4・9%増の4411億円、経常利益が15・9%増の567億円と過去最高だったコロナ前の2018年度の数字を更新する計画。
―セグメント別で特に好調だった事業は。
古宮 鉄道事業をはじめ、ホテル業や小売業が好調だった。人流が正常化した影響で鉄道旅客運輸収入が増加し、ホテルや駅ビルが収入増に貢献した。
駅ビル「アミュプラザ」は施設によって差があるが、博多は絶好調だった。他の駅ビルのマイナスを博多がカバーして、全体でプラスに収めることができ、改めて福岡市の元気の良さを実感している。全国的に大都市や地方中核都市はどこも好調なのに対して、その他の都市はいま一歩。鹿児島なども新幹線の乗車人数の戻りが鈍く、駅周辺施設の伸びが悪い状況だ。
―まちづくりを含め不動産事業の割合は今後も高めていくのか。
古宮 2030年長期ビジョンでは、非鉄道事業を中長期的に収益の75%まで拡大する構想を掲げており、その中で不動産事業に特に力を入れていくことになる。最近は成長投資として物流不動産事業も積極的に取り組んでおり、23年3月の物件取得以来、現在のところ4件を取得、さらに小郡と苅田で自社開発案件を推進中。
―物流施設の立地は九州にこだわっているのか。
古宮 基本は九州内と考えているが、他のマンションなどの不動産と同じように、良い場所があれば九州以外の場所も積極的に検討していく。