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発着枠拡大を収支改善に最大限活用 福岡国際空港・田川社長
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週刊経済2024年8月28日発行号
「まずは当期段階での黒字化目指す」
福岡空港を運営する福岡国際空港㈱(FIAC,福岡市博多区下臼井)の田川真司社長は、本誌9月号インタビューに応じ、「利用者は回復傾向にあるものの、山積する課題も多い。しっかり向き合い、前に進めていきながら、多くのお客さまがご利用いただけるよう個々の施策を進めていきたい」と抱負を述べ、課題となる収支改善については「来年3月に供用する増設滑走路供用による発着枠拡大などを収支改善につなげていきたい」と将来の方向性を述べた。主なやり取りは次の通り。
―就任から3ヵ月。今日までを振り返って。
田川 利用者数はコロナ前を上回る水準で順調に回復している。特に国際線については「回復」というより、「拡大」という言い方が適切かもしれない。非常に好調だ。一方で、建設コスト上昇やジェット燃料不足などの課題も山積している。「ピンチはチャンス」という言葉のある通り、山積する課題にしっかり向き合い、前に進めながら、多くのお客さまが福岡空港をご利用いただいけるよう個々の施策を進めていきたい。
―来年春には増設滑走路と増改築工事が終盤を迎えた国際線ターミナルが供用を始める。国内線側でも複合施設の整備がスタートする。
田川 国際線地区については、順調に工事が進んでいる。11月末には2次交通の受け皿となるアクセスホールがオープンする。これに合わせ、国内線と結ぶ内際連絡バス専用道の国際線側も供用する。これにより、国内線側とのスムーズな乗り継ぎが可能となり、利便性の向上が期待できる。また、来年3月には国際線ターミナルも本格的にオープンする。新しい保守検査場にはスマートレーンを導入するほか、免税店は現在よりも4倍の規模となり、フードコートも新設する。出国手続きから出発までの時間がスムーズとなるほか、快適な空間でショッピングやお食事を楽しめる施設として充実することになる。国内線地区については、昨今の建設コスト上昇により、設計の見直しを進めている状況。早ければ来年度にも着工し、再来年度のオープンを目指したい。
―課題となっている収支改善について。
田川 昨年度、営業黒字を達成できたことは第1ステップとしては良かったと思う。しかし、当期段階では24億円の赤字、加えてコロナによる痛手の影響で約280億円の債務超過状態となっている。まずは当期段階での黒字化を達成し、次のステップとして債務超過の解消に努めていく必要がある。そういう意味では、その道筋をつけていく重要な時期もあり、将来の収支構造をしっかり作り上げていくことが大きな課題だ。方向性としては、増設滑走路の供用による発着枠の拡大を最大限利活用していきたい。国際線を中心に新規路線の開設には注力していくが、同時に免税店の機能も強化していきたい。