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アステラス製薬と細胞医療事業化の覚書締結 安川電機
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週刊経済2024年6月19日発行号
ロボット技術と製薬技術を融合
モーションコントロール・ロボット開発、システムエンジニアリングなどを手掛ける㈱安川電機(北九州市八幡西区黒崎城石、小川昌寛社長)は、5月17日付でアステラス製薬㈱(東京都中央区日本橋本町、岡村直樹社長)と細胞医療プラットフォーム構築に向けた覚書を締結した。
これまで安川電機の関連会社がアステラス製薬とビジネスを展開していたが、今回、「ロボット技術と製薬技術の融合による革新的な細胞医療プラットフォーム構築を目的とした覚書を結ぶことで、両社の相互の強みを生かした細胞医療の取り組みを加速化させる」(広報・IR部広報推進課)のが狙い。同覚書に基づき、今後、細胞医療分野における初期研究から製品化に至るまでをシームレス(継ぎ目のない状態)化することで、より高品質な細胞医療製品の製造と研究開発期間の短縮実現、新たな細胞医療プラットフォームを共同で創出することを目指す。
細胞医療製品の新薬承認までの開発については、作業プロセスが熟練者の技術力に依存しており、安定性や再現性の部分で製品製造の難しさが細胞医療を事業化することの大きな障壁の一つになっているという。また、「基礎研究からGMP(医薬品の製造管理および品質管理の基準)に基づく製造や商業生産に向けた技術移転が困難であること。さらに、実現するには大規模かつ高額な製造関連投資が必要になるなど多くの課題もある」(同)としている。
アステラス製薬では2017年度から同社子会社「ロボティック・バイオロジー・インスティテュート㈱」が開発、販売しているバイオ向け双腕ロボット「まほろ」を導入しており、細胞医療の創薬研究および製造技術研究を推進。覚書締結後は「まほろ」を活用し、細胞医療における革新的な細胞製造技術、臨床開発、細胞医療に関する各種規制の知見をプラットフォーム構築に向けて提供する。一方、安川電機では「メカトロニクス(メカニズムとエレクトロニクスの造語)」応用領域の事業拡大を掲げており、これまで培ってきたロボット技術を細胞医療に活用する取り組みを強化。医療領域における安川グループの価値向上を図っていく方針。同社では「今後、両社の間で具体的な検討を進めていくことになる。両社で開発したプラットフォームをスタートアップやアカデミアに提供し、薬機法に基づく治験薬製造への投資軽減やイノベーションの発掘、育成に寄与できるサービスの構築も目指していく」と話している。