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旅客回復で4期ぶりの売上高1000億円超え 第一交通産業


週刊経済2024年6月12日発行号

タクシー、バス事業の回復進み

タクシー大手の第一交通産業㈱(北九州市小倉北区馬借2丁目、田中亮一郎社長)の2024年3月期連結決算は、売上高が1・8%増の1007億1100万円、経常利益が4・8%減の40億800万円だった。
新型コロナ5類移行に伴う行動制限緩和で旅客の移動需要が回復し、タクシー事業の売上高が7・6%増、バス事業が15・4%増と伸長したことで、3期連続の増収、4期ぶりの1000億円超えに繋がった。利益面は、経常利益が3期ぶりの減益、当期純利益は商業施設の取り壊しによる16億8200万円を特別損失計上し、57・2%減の9億1900万円だったものの、営業利益が15・2%増の30億5400万円と3期連続の増益となった。
主力のタクシー事業は、需要回復と運賃改定の進展で売上高が503億6200万円(7・6%増)となり、国土交通省のコロナ対策特例休車のほか、経費削減に取り組んだ結果、前期9億3300万円のセグメント損失が8億5000万円の赤字に縮小した。また、バス事業は、沖縄県を中心に団体旅行やインバウンドの回復などで輸送人員が増加し売上高が65億4800万円(15・4%増)、セグメント損失が2億7100万円(前期は7億2700万円の赤字)だった。
一方、不動産分譲事業は、前期のプロジェクト用地売却の反動減で売上高が9・2%減の292億4200万円、セグメント利益が24・9%減の15億9600万円。不動産賃貸事業は、飲食ビルなどの入居率回復、新規賃貸物件の増加などで売上高が6・9%増の52億2100万円、セグメント利益が4・1%増の25億700万円。不動産再生事業は、前年度同様に中規模物件の売却に留まり、売上高が14・1%減の40億8400万円、セグメント利益が17・1%減の6億200万円。金融事業は不動産担保融資の新規貸付による期中平均貸出金利が上昇し、売上高が8・7%増の9億9500万円、セグメント利益が5・8倍の6億3200万円。自動車の点検、整備、LPGの販売、パーキングなどそのほかの事業は、売上高が14・4%増の42億5700万円、セグメント損失は9億9200万円(前期は8億8900万円の赤字)だった。
25年3月期は、人件費増や原材料価格の上昇が予想されるものの、イベント開催、インバウンド含めた移動需要の回復を見込み、売上高が3・1%増の1038億円、経常利益が2・3%増の41億円、営業利益が14・6%増の35億円、当期純利益が2・5倍の23億円を見込んでいる。