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久留米市に建築用加工ガラスの新工場を建設 AGCグラスプロダクツ


週刊経済2024年5月29日発行号

投資予定額約50億円

素材メーカー国内大手・AGCの子会社で、建築用加工ガラスの製造、販売を手掛けるAGCグラスプロダクツ㈱(東京都台東区上野4丁目、半田昌史社長)は5月21日、久留米市田主丸町の久留米うきは工業団地に新工場を建設することを発表、久留米市と進出協定を締結した。投資予定額は約50億円。
同社が製造、販売する建築用加工ガラスが九州市場において需要が期待できることから、より安定的な生産体制を構築することが狙い。名称は「AGCグラスプロダクツ久留米工場」。敷地面積は約2万2千㎡、平屋建てで建築面積は約1万1千㎡。24年12月に着工、26年4月の完成、同年12月の操業開始を予定している。新工場には、一般住宅向けの複層ガラス・サーモクラインⓇの専用ラインと、商業ビルやオフィスビルなど向けの非住宅用複層ガラスの生産ラインを設ける。生産能力は月産で5万2千枚分に相当する4万㎡で、横浜・鶴見工場に次ぐ規模。従業員数は100人でうち20人は市内からの新規採用を予定している。
久留米市役所8階の特別応接室で開かれた協定締結式では、同社の半田昌史社長と原口新五市長が地元からの雇用促進や地域振興など7項目からなる協定書に署名後、記念撮影に臨んだ。
協定終了後、半田社長と原口社長はそろって会見。半田社長は「交通の要衝、人材確保の面で優れていることや、用地を探す際、久留米市の皆さんが迅速に対応していただいたことが決め手になった」と進出に至った経緯を説明、「東京や東北に比べ、九州は複層ガラスの導入が極めて少なく、これから大きく伸長できるマーケット。鶴見工場に次ぐ規模の工場を整備することで、九州における市場規模を拡大させていきたい」と意気込みを語った。原口市長は「久留米には高専をはじめ、技術系の学校が多く、優秀な若い人が確保できる点などが強み。地元からの積極的な採用をお願いしたい。行政として全面的にバックアップしていきたい」と述べた。
同社は1967年12月設立。AGCが100%出資する子会社で資本金は12億8700万円。2023年末の従業員数は1016人。AGCグループにおける建築用加工ガラスの製造、販売を手掛け、売上高は500億円。国内18カ所に製造拠点を展開。九州には佐賀県鳥栖市の鳥栖工場、熊本県長洲町の㈱LIXIL有明工場内に有明工場があるが、久留米に建設する新工場の操業開始に合わせ、鳥栖工場を集約するという。同社の進出に伴い、久留米・うきは工業団地の分譲用地はすべて完売した。