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宗像市の老舗蔵元・伊豆本店を子会社化 久原本家グループ本社


週刊経済2024年5月15日発行号

酒造業に進出

だし・調味料を中心とした総合食品メーカーの㈱久原本家グループ本社(糟屋郡久山町、河邉哲司社長)は、創業300年超の日本酒蔵元・㈱伊豆本店(宗像市武丸)の株式を取得し子会社にした。グループ化により酒造業に進出となる。
伊豆本店は1717年創業の老舗蔵元で、河邉社長の母方の実家にあたり親戚関係にある。同グループが久山町で運営する茅葺きのレストラン「御料理 茅乃舎」は、伊豆本店の茅葺き屋根を葺き替える姿を河邉社長が目の当たりにしたことから誕生した。「いわば『茅乃舎』ブランドの原点と呼べる場所」(同グループ)であり、「博多 椒房庵」ブランドにおいて純米大吟醸「久波良」などの製造委託をするなど、業務上でも関係性を築いてきた。今回、伊豆本店が積み重ねてきた酒造の技術を今後も継承したいという想いが一致。さらに双方の強みを生かして発展的な事業展開イメージを共有できたことから子会社化に至った。
今後は、従来通りの酒造・販売を継続しながらグループとしての融合を図っていく。また、伊豆本店の敷地内建屋を同社商品だけでなく、グループ各ブランドの物販スペースとしてリニューアルする。さらにグループの商品開発力を生かし、新たな宗像ブランドの開発も進めていく計画。宗像市は世界遺産登録された「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」をはじめ、宗像大社などがあり、歴史深い地域として観光地としても注目を集めている。同グループでは「300年以上この地に根差してきた伊豆本店と当グループのノウハウを活用することで、新たな地方創生に取り組んでいきたい」としている。
久原本家グループは1893年創業。事業内容はグループ全体の経営管理業務、商品開発業務、品質保証業務など。グループ連結売上高は318億円(2024年2月期)。従業員数は1319人(同)。
伊豆本店は1717年創業。事業内容は代表銘柄「亀の尾」などの日本酒およびリキュールの製造、販売、小売業。売上高は6400万円(2023年9月期)。従業員数は5人。役員体制は▼代表取締役 河邉哲司▼取締役社長執行役員 伊豆寛子▼取締役 河邉太郎。