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「金融・資産運用特区」へ共同提案 福岡県と福岡市


週刊経済2024年3月5日発行号

「アジア」「スタートアップ」テーマに

福岡県と福岡市は2月20日、政府が新たに創設する「金融・資産運用特区」の指定を目指し、両自治体で共同提案したと発表した。
提案するのは、「スタートアップ金融・資産運用特区」。国際金融機能誘致を目指す「TEAM FUKUOKA」を通じ、両自治体で密に連携して誘致活動を展開してきたことが、県・市で早期にコンセンサスを取りまとめ、共同提案に踏み切る成果につながった。
提案の大きなテーマは「アジア」と「スタートアップ」で、アジアを中心としたさらなる金融関連企業の誘致、またスタートアップの成長促進を目指す上で追い風となる規制緩和策を重点に提案している。具体的には、「スタートアップ企業へ投資する一般投資家の勧誘対象者の人数拡大」「証券会社による未上場株の取得緩急の解禁」など、スタートアップへの投資拡大を狙った規制緩和策に加え、「海外で実績ある資産運用業者の金融ライセンス取得要件の緩和」「資産運用業に従事する海外金融人材のビザ取得の審査期間短縮」など、外資系金融事業者を呼び込みやすくするための提案も盛り込んだ。さらに、福岡証券取引所等と連携し、世界的に拡大しているESG・インパクト投資を呼び込む「新市場」の創設を目指すために、「上場投資信託(ETF)の上場審査基準の緩和」も提案している。
「金融・資産運用特区」は、岸田政権が「資産運用立国実現プラン」の一環として昨年12月に発表した構想で、指定する特定の地域において金融・資産運用サービスを集積し、高度化と競争力強化を促進する狙いがある。今年1月16日に公募を開始(2月16日締め切り)、来年夏頃をめどに特区のパッケージを策定・公表する計画。福岡市の担当者は、「提案が結実し、より国際的な金融機能が集積して、スタートアップ向けの投資資金が集まる都市に成長できれば、その資金が地域・家計へと循環するだけでなく、地域全体の金融リテラシーや投資への関心も向上し、結果として『資産運用に適したまち』へと成長するビジョンも期待できる」と話している。