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東証グロースに上場、衛星分野で全国初 QPS研究所


週刊経済2023年12月19日発行号

18機目までの開発資金を確保

九州大学発宇宙ベンチャーの㈱QPS研究所(福岡市中央区天神、大西俊輔社長)は12月6日、東京証券取引所グロース市場への上場を果たした。
同社はカメラで撮影できない程の環境(曇りや夜)でも観測可能な小型レーダー衛星「小型SAR衛星」の開発ベンチャーで、これまで6号機までの衛星を宇宙に打ち上げている(3、4号機は搭載ロケットの打ち上げが失敗)。上場の目的は資金調達。これまでにも、開発資金のために90億円以上を調達してきたが、11月には上場を前提にシンジゲートローンで50億円の融資を契約。上場後の直接金融による調達を含め、18号機までの開発資金を確保したとしている。今後、36機の衛星で世界中のほぼ全てを約10分間隔で観測する「衛生コンステレーション」の構築を目指していく。上場後の初値は、公開価格の2・2倍、860円となった。
12月11日には、同社を支援してきた経緯を持つ福岡県庁で、服部誠太郎県知事、香原勝司福岡県議会議長に上場を報告。服部知事は「1号機打ち上げの際も、ちょうど12月11日に福岡県庁でパブリックビューイングを設けて見守ったが、それから数年で上場企業にまで成長されたことを嬉しく思う。SAR衛星で得られる画像やデータは、世の中を一変するゲームチェンジャーになると思う。これからもプロジェクトを全力で応援していきたい」と期待を語った。大西社長は「今回の上場で、毎年複数機の衛星を打ち上げるための準備が整った。私たちの成長が、福岡の宇宙産業の発展につながると思うので、今後も開発に全力で取り組んでいく」と話している。