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キャナルシティ博多のリニューアルは順調 古池善司㈱福岡リアルティ社長・福岡リート投資法人執行役員


週刊経済2023年12月19日発行号

 ―今年3月~8月の38期決算は、増収増益で1口当たりの分配金も過去最高だった。
古池 Jリート全体が弱含む中、我々としては良い決算ができたと考えている。今後の見通しも不透明感が一部払拭され、前向きな打ち出しができたことで、投資家の皆様からは、一定の評価を頂いている印象だ。
―その要因については。
古池 キャナルシティ博多の回復。コロナ禍が過ぎ、想定以上にインバウンドが戻ってきている。また今後に関しては、中国からのクルーズ船が動き出せば、リニューアル第1弾としてオープンした「Alpen FUKUOKA」への影響もますます期待できる。
―そのほかのアセットの状況は。
古池 オフィスビルでは、我々のスポンサーである福岡地所が開発した福岡市博多区の博多FDビジネスセンターを9月1日に取得した。想定以上にリーシングが順調で、有名企業、外資系の金融機関、コンサルティング会社などの入居が決まり、目標としていた賃料での契約もできた。今後の成長の土台作りにつながると期待している。一方で、福岡のオフィス市況については、天神ビッグバンなどによる供給が今後増えるので、注視しながら取り組みたい。
物流施設、我々の保有アセットについては非常に堅調。北部九州の物流マーケットについても2022年まで空室率は1%前後で、23~24年も、供給は一定量あるが需要は強い状況だ。賃料も右肩上がりで、安定した強いアセットとして、さらに成長が見込める。
住居については、福岡は人口が増えており、我々も6物件保有しているが、おおむね高稼働で、非常に安定的なアセットだと言える。ただ、他のアセットに比べてキャップレートが低く、我々が想定する利回りを確保できる物件は限られる。ホテルは現在3物件保有しているが、その中でキャナルシティ博多の福岡ワシントンホテルは客室平均単価もコロナ前の水準に戻っている。今のところ人手不足もあり、稼働は戻り切っていないが、体制が整えばさらに収益向上が望める。また沖縄のティサージホテル那覇については、今後のインバウント回復に期待している。
―今後のアセット取得に関しては。
古池 今後はオフィスビル、物流施設、住居アセットを中心に、優良物件を前向きに検討したい。物件入替えも含めて資産規模を増やし、最適なポートフォリオを目指したい。
―今後の取り組みについて。
古池 キャナルシティ博多リニューアルの次のステップとして、グランドハイアット福岡地下1階の飲食ゾーンのリニューアルを計画している。「福岡とアジア各国の食が融合した新しい食文化」をテーマとして、1年後のオープンを予定している。また、資産の運用と並行して、ESG、サステナビリティへの取り組みもさらに強化していきたい。